森川葵 カメラ20台以上、撮るよりも触るのが好き

役に合わせて丸刈りになったり金髪にしたりと、徹底した変化(へんげ)ぶりで注目を集めてきた女優の森川葵さん。自ら「こじらせ系」だという22歳のカメレオン女優は、カメラ、靴、メガネなどモノについても独特の感性を持っていた。
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「初めてフィルムカメラを買ったのは、今から5年くらい前です。中古カメラ屋さんに入ったら、そこにあったペンタックスの一眼レフがなんとなく欲しくなっちゃって。それから気付いたらどんどん増えていって、今ではいろんなメーカーの一眼レフや二眼レフ、コンパクトカメラ、『写ルンです』まで20台くらいは持ってます。

撮影もたまにしますけど、どちらかというと、カメラという機械の、形とか見た目が好きなんです。特に好きなのはレンズ。あのガラスのツヤ感や、透き通っている感じがたまらない(笑)。眺めたり触ったりするのが好きなので、本気で写真を撮っている人には言われますね。『もったいない、カメラちょうだい!』って。でも絶対、あげない(笑)。
あとフィルムカメラは、ちょっと不器用な感じがするところも好きです。デジタルカメラも一応持ってますけど、最先端のスマートな感じについていけてない。アナログで不器用な感じのフィルムカメラを見ると、ホッとするんですよ。私も不器用だから(笑)。
フィルムは残るところもいいですね。デジタルで撮るとあまり見返さないし、正直、データが消えていてもわからないじゃないですか。でもフィルムで撮ると、現像されて紙焼きが残る。それを見ると、『このとき、あのお店に行ったな』とか、記憶がよみがえってくるのが楽しいです」
「コレクション癖があるのかもしれない」と話す森川さん。カメラの他にも、靴やメガネを集めてしまうという。
「靴、好きなんです。カメラと同じで、靴もデザインがさまざまなので、眺めているだけで楽しい。カワイイ靴を持ってるだけで、『うれしい、幸せ!』と感じます。だから買ったけど、履いてない靴もあったりしますね。『これ、いつ履くんだろう?』と思うんですけど、捨てられない。

メガネも1個じゃなく、『もっといろいろ試してみたい!』と、いろんな形のものが欲しくなっちゃうんですよ。
最近はコートが好きで、お買い物に行くたびに、コートばっかり買ってます。正直、コートって、1つか2つあれば冬を乗り切れるじゃないですか。なのに、この冬だけでも黒のロングコートも買ったし、ブルーのチェックのコートも買って……(笑)。
本当は、引っ越しをする時に大変になるので、モノを増やしたくないんです。でも『がんばったし、次、このお仕事が決まったから、買っちゃおう』と自分へのご褒美的に買っていたら、どんどんモノが増えて、部屋が大変なことになっています」
「それ、いいじゃん!」で、私物と一緒に映画出演
2018年1月5日公開の出演作は『嘘八百』。『百円の恋』(14年)をヒットさせた監督による作品だ。落ちぶれた古物商(中井貴一)と陶芸家(佐々木蔵之介)が、ニセの骨董品を作り上げて人生の一発逆転を狙うというコメディーだ。森川さんは古物商の娘・いまりを演じている。
「中井貴一さんと佐々木蔵之介さんのダブル主演作ということで、お話をいただいたときは、うれしかったです。『そんな映画に、私も参加できるんだ』って。

いまりちゃんは不思議なところがあって、好きになる男の子も、ちょっと変わってる(笑)。幼少期に親と良い時間を過ごした記憶がないので、お父さんといるときは常にムスッとしていて、こじらせちゃってる女の子なんです。私はそんないまりちゃんに共感できるところがあったし、いろんな遊びができる役だったので、演じていて楽しかったです。
映画で印象に残ったものは、髪形や髪飾りです。髪が伸びていたので、適当に髪をくくって衣装合わせに行ったんですよ。そうしたらヘアメイクさんに、『その髪形、いいね』と言われて、そのままそれが、いまりちゃんの髪形になって(笑)。それから『いまりちゃんって、どんな髪飾りをするのかな?』と話していたとき、たまたま私のバッグの中に入っていたブローチを見て、『それ、いいじゃん!』と。『ゴムを付けて髪飾りにしたらカワイイんじゃない?』と言われて、私のブローチが髪飾りに使われることになったんです。

そういうふうに、髪形や身につけるものが決まることは珍しい。私物を褒められた上に、自分のものが役に合っていたということも、うれしかったです」
完成した『嘘八百』は、不器用な大人たちの奮闘ぶりで笑わせながら、最後に少しホロリとさせる作品になった。
「大人の青春映画だなと思いました。初めはゆる~っとした時間が続いて、それはそれで面白いんですけど、途中で嘘をつき始めてから、物語が盛り上がっていくところのスピード感がすごい。大人たちの『本気の嘘』を見て私も笑っちゃいましたし、みなさんにも楽しんでいただけたらと思います」
テレビを見ながら、地味に編み物しています
『嘘八百』のいまりをはじめ、『花戦さ』(17年)での天才絵師や、『リバーズ・エッジ』(18年2月16日公開)での狂気を秘めた女子高生など、エキセントリックな役柄を演じることが多い森川さん。一方、17年の主演映画『恋と嘘』では、三角関係に揺れるごく普通の女子高生を演じ、演技の幅広さを見せつけた。
「『恋と嘘』は、大変でした。普通の素直な女の子だったので、『普通って何だろう?』と、すごく悩みました(笑)。いまりちゃんのようにこじらせちゃってる女の子はやっていて楽しいんですけど、そういう変わり者の役ばかりになってもいけない。『恋と嘘』みたいなまっすぐな女の子も、どっちもできる役者でありたいです」
「素顔の森川さんはどっち?」と聞くと「こじらせ系です」と笑う。
「もう全体的に、こじらせてます(笑)。大勢の人とご飯に行くとすぐに帰りたくなっちゃうし、あんまり人と会いたくないなと思って、スマホから連絡先を消してしまったり(笑)。
だから休みの日は、ほとんど家にいますね。家では適当にテレビを見ながら、編み物をしていることが多いです。編み物はもともと好きだったんですけど、『リバーズ・エッジ』の役作りでちゃんと練習したら、さらに好きになりました。

編み物の好きなところは、地味なところです(笑)。単純作業の繰り返しで、何にも考えなくていいっていうのが幸せ。無心になると、リフレッシュにもつながります。つい最近、靴下を編み終わって、家で履いていて。最近はマフラーを編んでます。
今、欲しいものですか? ……ないかな。お店に行って、ハッ!として、『これ、欲しい!』と思うタイプなので。そういうトキメキが好きなのかもしれませんね、お買い物の」

1995年生まれ、愛知県出身。10年に雑誌「Seventeen」の専属モデルとしてデビュー。12年に女優デビュー。主な出演映画に『渇き。』(14年)、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16年)、『恋と嘘』(17年)など。ドラマに『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16年)、『プリンセスメゾン』(16年)、『先に生まれただけの僕』(17年)などがある。18年は1月期のドラマ『明日の君がもっと好き』(テレビ朝日)、『賭ケグルイ』(TBS)に出演。映画『リバーズ・エッジ』『OVER DRIVE』の公開が控える。
『嘘八百』

目利きだが空振りばかりの古物商が、娘とともに茶の湯の聖地・大阪の堺へやってきた。そこで出会ったのは、贋作(がんさく)作りに手を染めて、落ちぶれた陶芸家。ともに大御所鑑定士に人生を狂わされたことを知った2人は、幻の利休の茶器を仕立て、鑑定士への仕返しついでに一獲千金を狙う……。監督・武正晴 脚本・足立紳、今井雅子 出演・中井貴一、佐々木蔵之介、友近、森川葵、前野朋哉、堀内敬子、坂田利夫、木下ほうか、塚地武雅、桂雀々、寺田農、芦屋小雁、近藤正臣 2018年1月5日(土)全国ロードショー
(文 泊貴洋、写真 藤本和史)
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