2019年7月21日(日)

財政赤字は1兆ドル増 米減税、副作用否めず

2017/12/21 18:00
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【ワシントン=河浪武史】米議会が20日可決した大型減税法案が成立すれば、連邦政府債務は10年間でさらに1兆ドル積み上がる見込みだ。米国の政府債務残高は既に過去最大の20兆ドルに達しており、財政悪化の不安は根強い。

米財務省は大型減税で経済成長率が2.9%に高まると試算。税収が10年で1.8兆ドル増えるとも分析し、1.5兆ドルの減税は「お釣りがくる」とばかりに主張する。ただ、そうした見方は極めて少数で、米議会の合同租税委員会は税収押し上げは10年間で4千億ドルにとどまるとみる。減税によって財政赤字は同1兆ドル悪化する計算だ。

米連邦政府債務は20兆ドルを超え、過去最悪だ。リーマン・ショック後の景気刺激策と、高齢化による社会保障給付の拡大で、財政収支赤字に歯止めがかからない。来年2月で退任する米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は大型減税の評価を問われ、「個人的には財政悪化を懸念している」と返した。

2018年の中間選挙を控える米議会は、巨額減税に加えて歳出増の議論にも入った。2018会計年度(17年10月~18年9月)の本予算はいまだ成立しないが、共和党は国防費の上限額を引き上げるよう主張。民主党は社会保障給付など非国防費の増額を求めており、合わせて年1千億ドル規模で歳出が膨張するとの観測がある。

米議会予算局(CBO)は今年6月時点で、単年度の財政赤字が27年には1兆4600億ドルに達し、リーマン・ショック直後並みの水準に悪化すると試算している。減税と歳出増がともに決まれば、財政悪化のスピードはさらに速まる。「トランプ減税」は基軸通貨ドルの信頼にきしみをもたらし、世界経済の不安要素となるリスクがある。

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