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シンガポール―クアラルンプール高速鉄道の入札開始

建設・車両など資産会社

(更新)

【シンガポール=中野貴司、菊池友美】シンガポールとマレーシア両政府は20日、両国間を結ぶ高速鉄道計画の主要事業の国際入札手続きを始めた。2018年末までに受注先を決め、26年の開業を目指す。日本勢は技術力や安全性を訴え受注を目指すが、沿線では中国の影響力が強まっており、受注できるかは予断を許さない。

高速鉄道はマレーシアの首都クアラルンプールとシンガポール間の約350キロメートルを90分で結ぶ計画。20日に始まったのは、そのうち車両や線路の建設や車両の提供などを担う「鉄道資産会社」の入札だ。参画を目指す企業グループは18年6月末までに詳細な提案を両国に提出する。

鉄道建設の中核といえる今回の入札には、日本や中国、韓国、欧州の企業連合の参加が見込まれている。その中でも、沿線でいち早く積極的な開発を手がけているのが中国勢だ。

古くから海上輸送の要所として知られ、高速鉄道の主要停車駅にもなるマラッカ。沖合で急ピッチで進むのが550ヘクタールに及ぶ大規模な埋め立て計画だ。数十棟以上のオフィスやホテル、高層マンションを建てるだけでなく、工業団地やエネルギーの貯蔵・補給拠点、高級クルーズ船の停泊所までを25年までに整備する。

その開発を地元政府・企業と二人三脚で手がけるのが、広東省や中国電力建設集団、中国水利水電建設などの中国勢だ。李克強(リー・クォーチャン)首相も15年秋、広域経済圏構想「一帯一路」の重要案件の1つとして視察に訪れた。

マレーシア国内のもう1つの大型鉄道計画である東海岸鉄道は既に、建設を中国交通建設などが、資金供給を主に中国輸出入銀行が担うことが決まっている。ナジブ政権は中国と密接な関係を保っており、マレーシア国内では高速鉄道も中国勢が有利との声があがる。

対抗する日本はJR東日本住友商事など10社が企業連合を組成。1964年の開通以来、死亡事故ゼロの実績を持つ新幹線の高い安全性や技術力に加え、現地での研修などを通じた手厚い人材育成を売り物にしたい考えだ。日本流の厳密なプロジェクト管理を持ち込めば、受注から7年で開業に必要な人材育成や工事を済ませることができるという。

中国勢に比べて劣ると言われがちなコスト面でも、将来の維持管理や人材教育などにかかる費用を含めた長期的なコストでは決して高くないと訴える。マレーシアとシンガポール政府は安全性や採算性に加え、他社の部品や車両と交換しやすい互換性なども考慮するとみられる。受注先は18年末までに決まる。

東南アジアの高速鉄道建設で初の公開国際入札となる今回のケースは、今後のアジア鉄道建設のひな型となる可能性もある。総開発費が1兆6000億円に上るとされる巨大案件の受注獲得競争は、各国の国益をかけた争いともなる。

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