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終わらぬ自動化祭り 工作機械受注10年ぶり最高へ

工作機械の活況が止まらない。日本工作機械工業会(東京・港)が19日発表した11月の受注額(確報値)は単月で初めて1500億円を突破し、10年ぶりの年間最高の更新が濃厚になった。失速が懸念された中国向けが大きく伸び、スマートフォン(スマホ)以外にも需要が波及。自動化など「工場の進化」への投資が目立つのも最近の特徴だ。

「データの間違いじゃないか」。受注額統計を担当する工業会の職員は11月の数字を見て目を疑ったという。工作機械の受注額は内需と外需の合計で1千億円が好不況の分かれ目。11月は外需だけで節目を上回った。もちろん外需の1千億円超えは初めてだ。工業会の石丸雍二専務理事は「中国のスマホ向け需要が大きく寄与した」と話す。

活況の原動力が堅調な中国需要なのは間違いない。特に11月は共産党大会後の腰折れが懸念されていた。ふたを開けてみれば前年から2.7倍の急増だ。2倍前後の伸びが続いた4月以降と比べ、むしろ大会後に需要拡大が加速している。

過去最高を記録した2007年のけん引役も中国だった。ただ、当時は中国が「世界の工場」に成長していくなかでの増産投資が中心。今回は投資の内容が少し違う。

一つは人手不足や賃金高騰に伴う自動化投資の広がりだ。産業用ロボットだけでなく、工作機械も最新機種に更新すれば生産性が高まり、人手不足対応につながる。製造する品目の広がりとともに、微細な加工ができる精度の高い機械の引き合いも強まってきた。

10年前の中国企業は機材調達も価格ありきだった。ある工作機械メーカー関係者は当時の中国企業について「機械を買えるだけ買おうという感じだった」と話す。現在は生産性改善など工場の機能向上を狙った実需に基づく投資が目立ち、好調はしばらく続くとみる向きが多い。有機ELや電気自動車などに製品分野が広がれば、それに応じた投資も必要になる。

実際、足元の市場をけん引するスマホ向けに加え、自動車などスマホ以外の分野も確実に伸びてきている。自動車向けが主力のツガミは11月の海外向け受注高が前年から75%増えた。他のメーカーも「現地の営業は強気」(牧野フライス製作所)「今のところ落ちる要素が見当たらない」(オークマ)と鼻息は荒い。

数少ない懸念材料が工作機械に使う部品不足だ。例えば加工の精度を決める「リニアガイド」。需要急増で通常2~3週間の納期が1年に伸びているものもあり、大手THKの関係者は「来年いっぱいは忙しい状況が続く」という。納期正常化にはしばらく時間がかかる見通しで、部品不足が長引けば機械本体の供給にも影響しかねない。

また工作機械の需要はこれまでも世界景気の動向や為替変動に大きく左右されてきた。過去最高だった07年の翌年にリーマン・ショックが起き、09年の受注額はピークの4分の1に縮んだ。当時と比べれば景気の影響を受けにくくなっているのかもしれないが、リスクへの警戒はやはり怠れない。(井沢真志)

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