南アで改革派が与党トップに ズマ大統領に早期退陣の観測
アフリカの腐敗体質に一石か

2017/12/19 20:00
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【カイロ=飛田雅則】南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)は18日、反汚職を訴える元実業家のラマポーザ副大統領(65)を新議長(党首)に選出した。汚職疑惑が取り沙汰される現議長のズマ大統領(75)が後継と推す元妻ドラミニ・ズマ氏(68)を破った。新議長は次期大統領の有力候補となる。南ア汚職撲滅を掲げるラマポーザ氏を与党トップに選んだことで、アフリカ諸国に「反腐敗」の機運が高まるかが注目される。

18日、ANCの党大会でラマポーザ氏の勝利が告げられると、会場は歓喜に包まれた。同氏は議長選で、与党内にはびこる汚職との戦いや経済改革を訴えてきた。改めて「公約の実現を約束する」と強調した。

ANCは設立から100年超の歴史を持つ名門政党で、1994年の民主化以降、政権与党を維持してきた。アフリカで黒人の解放運動をリードしてきた存在でもあり、故ネルソン・マンデラ氏の下、アパルトヘイト(人種隔離)政策の廃止に導き、「マンデラの党」としてアフリカ大陸で尊敬を集めてきた。

だが、2007年にズマ氏が議長就任して以降、腐敗が取り沙汰されてきた。政府発注の仕事や公務員のポストはコネと賄賂で配分されるとされ、個人や企業が国家から公金を盗み取る「国家収奪」も横行。収奪された資産は最大2千億ランド(約1兆7600億円)に達すると報じられている。

金などの鉱業が主力産業だが、資源価格の低迷で経済は停滞する。これにズマ政権は有効な経済対策を打ち出せていない。失業率は20%を超え、若者を中心にズマ氏の退任を求めるデモが各地で発生するなど、かつては高かったANCの支持率も最近は低下していた。

マンデラ氏の腹心だったラマポーザ氏はこうした状況に危機感を募らせ、ズマ氏を批判してきた。ラマポーザ氏は今後、2019年5月まで大統領の任期が残るズマ氏に退陣を求め、汚職容疑でズマ氏の訴追に動くとの観測も出ている。

アフリカには現在の南ア同様、「腐敗」がまん延する国家が多い。ANCがラマポーザ氏を新議長に選択をしたことで、汚職や独裁が続くアフリカ政治に一石を投じる可能性もある。今後、南アに続き、アフリカの他国にも「反腐敗」の機運が広がるかどうかに注目が集まりそうだ。

ただ、ズマ氏を批判してきたラマポーザ氏にも疑いの目は向けられる。政界を一時引退後、非常勤取締役を務めた鉱山会社で12年に発生した労働争議で、警官が34人を射殺した事件への関与が疑われている。成功した実業家で「庶民感覚が乏しい」と批判する声もある。南アなどアフリカ諸国の腐敗は根深く、腐敗体質の改善は一筋縄ではいかないようだ。

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