2018年5月24日(木)

無呼吸防ぐチューブ承認申請へ セブン・ドリーマーズ

2017/12/19 6:30
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 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港、阪根信一社長)は2018年度、鼻の奥に入れて気道を確保するチューブ「ナステント」を睡眠時無呼吸症候群の医療機器として使えるよう、厚生労働省に製造販売の承認を申請する。既存の装置と違って使い捨てで、外出先で利用しやすいとうたう。

鼻柱に固定して使う。鏡の前で口を開け、軟口蓋近くに先端が達していることを確認する

鼻柱に固定して使う。鏡の前で口を開け、軟口蓋近くに先端が達していることを確認する

 睡眠中、平均して1時間に5回以上、それぞれ10秒以上呼吸が止まる人は、無呼吸症候群の可能性がある。肥満や加齢によって、舌の根っこ部分や軟口蓋・口蓋垂(のどちんこ)が沈み、気道を塞ぐ。

 シリコン素材のナステントは鼻の奥に入れ、口蓋垂のあたりまでチューブを届かせて閉塞を防ぐ。無呼吸症候群の6~7割の人にとって有効とみている。残りにあたる舌根部分の沈下などによる閉塞はナステントの対象にしていない。

 同社は日本で14年7月からナステントを販売している。医師が処方した指示書がないと使えない。快眠をサポートするデバイスとして扱われている。新たに承認を取れば無呼吸症候群の製品とうたえる。

 ナステントは、顔の大きさや口腔(こうくう)の形に合わせ、長さ120~145ミリメートルの6種類を用意してあり日本人の8~9割が使える。医師による指示書を示せば調剤薬局や量販店、専用サイトで入手できる。一度買うと定期購入も可能で、1箱7本入りで税別3220円。

 無呼吸症候群の患者は一般に経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP、シーパップ)の装置を使って治す。寝ているときに鼻にマスクを取り付け、装置からチューブを介して空気がマスクに送り込まれる。医療機関を通じ月約6000円で患者に貸し出されている。

 帝人は装置の国内最大手とされ医療機関に貸し出している。フィリップス・ジャパン(東京・港、堤浩幸社長)も提供している。

 ナステントが無呼吸症候群用の機器として承認されれば、症状が軽くいびき程度の患者に勧めることを想定している。

 息苦しさからCPAP装置を継続して使えない人が代わりに利用することもできる。CPAP装置の保険適用が始まって20年たつが、続けられずやめてしまう患者がいるという課題がある。マスクが煩わしい、空気圧が苦しいなどの理由だ。

 セブン・ドリーマーズのヘルスケア事業部、平田裕美副事業部長は重症患者でも併用の需要があるとみる。「移動中に寝ているとき使っている人もいる」。既存の装置と違い電源が不要で、車内や機中で使える。

 CPAPを受けている患者は国内に約45万人おり、潜在的な患者を含むと300万~400万人との数字がある。日本人はあごが小さく、肥満の割合が少ないが患者は多いといわれる。

 無呼吸症候群の治療機器として承認を受け、国内で取り扱う医療機関の数を早期に現在の4倍にあたる2000カ所に増やす計画だ。

 海外では13年に販売承認を取得している欧州で普及を広める。フランスやオランダですでに販売しており、18年1月からはイタリアやドイツでも販売する。18年度中に中国や米国でも販売を始める計画だ。

 チューブにセンサーをつけ、睡眠データを取って眠りの質を改善するシステムの開発を検討する構想がある。

 平田氏はナステントについて「アイデア勝負で作った」と話す。実際に救急医療の現場でも気道確保に使われており、医師の理解を得られていると考えている。

 17年1月に1例、利用者がチューブを誤飲した事故があり、自主回収した経緯から、6月からは購入に必ず医師の指示書が必要になった。

 同社は1957年創業した複合材料加工のスーパーレジン工業(東京都稲城市、阪根信一社長)が起源。90年代後半に人工衛星「はやぶさ」プロジェクトに参画した。阪根氏は99年に米デラウェア大学で化学分野の博士号を取得、2008年にスーパーレジン社長に就いた。14年に日本でセブン・ドリーマーズを設立、スーパーレジンは現在子会社だ。

 ナステントなどを開発、販売してきたが、名前が知られるようになったのは衣類を自動で折り畳むロボット「ランドロイド」。2018年度後半に発売する予定だ。売上高は非公表。パナソニック大和ハウス工業が出資した。

(企業報道部 薬袋大輝)

[日経産業新聞2017年12月19日付]

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