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興和、名古屋・丸栄跡地を一体再開発へ 来年6月閉店

●衣食住の複合施設に 27年メド完成

名古屋・栄地区の老舗百貨店、丸栄は18日、2018年6月30日に閉店すると発表した。記者会見した浜島吉充社長は「建物の耐震強度が不足し、既存テナントからの退店申し込みも相次ぎ、事業の継続は困難と判断した」と話した。閉店後は取り壊し、リニア中央新幹線が開通する27年をメドに、親会社の興和(名古屋市)が周辺ビルと一体で再開発する計画だ。

丸栄は1615年、小出庄兵衛氏が名古屋で創業した「十一屋」が発祥。同業の「三星」と43年に合併し、丸栄が誕生した。松坂屋や三越、名鉄百貨店と並び「4M」と称されたが、近年は売り上げが低迷。400年超の歴史に幕を閉じる。

今後、希望退職を募集し、再就職の支援に取り組む。興和グループ内での転籍も検討する。

興和は丸栄の跡地と、広小路通を挟み北側に所有する「栄町ビル」と「ニューサカエビル」を一体的に開発する方針。記者会見に同席した興和の山下孝治副社長は「住宅やショッピングなど、衣食住で楽しめるようにしたい」と述べ、複数の機能を持つ施設にする考えを明らかにした。

再開発は2段階で進める。丸栄の建物解体には15カ月程度かかり、終了は19年中になる見通し。跡地の有効活用のため、まず20年中にも小規模ビルを建設し、5年程度と期間を区切って営業する方針だ。入居店舗など詳細は今後検討し、栄町ビルとニューサカエビルは当面営業を続ける。その後に再び解体し、栄町ビルなどとの本格的な再開発に取り組む。

山下氏は再開発後の姿について「栄のランドマークとなり、50年もつ施設をつくりたい」と話した。不動産デベロッパーや名古屋市などと具体的な協議を進める。

丸栄は栄の一等地にあり、周辺に百貨店など商業施設が集中する。名古屋駅周辺に続く栄の再開発は、名古屋全体の街の魅力が高まるかどうかを占う重要な要素となる。(長縄雄輝、広沢まゆみ)

●「施設名に『丸栄』残らず」 興和・山下副社長

18日に名古屋市内で記者会見した丸栄の浜島吉充社長と、興和の山下孝治副社長の主なやりとりは次の通り。

――なぜ丸栄閉鎖を決断したのか。

丸栄・浜島社長「百貨店業態からテナント型への転換を進めてきたが、退店の申し込みが相次ぎ事業継続のメドが立たなくなった。また店舗老朽化による耐震問題もあり、補強には多額の費用がかかってしまう」

――丸栄の跡地はどのように活用するのか。

興和・山下副社長「丸栄跡地は更地のままではもったいない。まずそれほど大きくはないが、集客施設を造る。5年程度の短期間の施設になると思う。その上で2027年を目標に、(丸栄の北側の)栄町ビルやニューサカエビルと一体で再開発を進めたい」

――再開発のイメージは。

山下氏「まだ決まったものはないが、栄のランドマークとして残るような、地域に喜んでもらえる建物になればと考えている。人工知能(AI)やIoTなども取り入れたスマートタウンにしたい。施設名に『丸栄』の名前は残らないだろうと個人的には思う」

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