2018年10月18日(木)

極右政権入り、欧州にすきま風 オーストリア
外相・国防相獲得、「ロシアに接近」観測も

2017/12/18 18:00 (2017/12/18 20:30更新)
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【ベルリン=石川潤】オーストリアで18日、中道右派の国民党と極右の自由党による連立政権が発足した。首相には国民党のクルツ党首(31)が就いたが、外相、国防相、内務相のポストは自由党が獲得した。難民らの受け入れに強硬に反対し、ロシア寄りとされる極右の政権入りで、欧州連合(EU)との間にすきま風が吹きかねない。

「我々ははっきりと親欧州の方針で一致している」。クルツ党首は連立合意後の16日の記者会見でこう語り、オーストリアが反EUに転じるとの観測を否定してみせた。自由党のシュトラッヘ党首(48)もEU離脱のための国民投票は行わない考えを強調した。

小国のオーストリアにとって、経済的な恩恵が大きいEUからの離脱はリスクが大きい。極端な政策には走らず、当面は現実路線を守る考えを内外に示したといえる。

ただ、国民党と自由党は反難民政策を競うように打ち出し、10月の議会選挙での勝利を呼び寄せたばかり。シュトラッヘ氏は難民受け入れを認めたメルケル独首相を「欧州で最も危険な女性」と攻撃したこともある。

16日の会見でも同氏は「不法移民を食い止める」と繰り返した。難民らの受け入れや分担を巡り、EUとの対立がいずれ表面化するとの懸念は消えない。独紙ウェルトは17日付1面で「オーストリアの新政権が反メルケル戦線を強化」との大見出しを掲げた。強権的なハンガリーやポーランドなどとの共闘を不安視する向きも多い。

さらに独仏などが警戒するのが、ロシアへの接近だ。親ロシアとされるシュトラッヘ氏は会見で「欧州とロシアの関係改善に仲介役として力を尽くしたい」と語った。ロシアが欧州での極右やポピュリズム(大衆迎合主義)を後押しするなか、対ロシア制裁の解除に前向きな自由党が外相、国防相、内務相のポストを握った意味は重い。

主要閣僚ポストを極右が握ったことで、外交、安全保障の連携にも影響しかねない。テロ防止のための情報共有などに他の国が二の足を踏めば、EU全体の治安対策に支障が出る。

自由党は元ナチス党員らが設立した極右政党で、ナチス擁護発言で知られるハイダー氏のもと、2000年代前半にも国民党と連立政権を組んだ。05年に党が分裂して勢いはいったんは衰えたが、元歯科技師のシュトラッヘ氏が過激路線をいったん封印し、党勢を回復させてきた。

州政府レベルでは与党入りも果たしている。15年の難民流入を追い風にさらに支持を広げた。

自由党が政権参加をきっかけに再び過激路線に突き進み、欧州の分断が深まるのが最悪のシナリオといえる。一方で、自由党が現実路線を守って政権担当能力をアピールすれば、欧州内で極右やポピュリズムへの抵抗感が薄れかねない。どちらに転んでも、欧州の主流派にとっては悩ましい展開となる。

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