2018年1月18日(木)

筑波大、25トンの渡り廊下屋根が崩落

科学&新技術
BP速報
2017/12/18 23:00
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日経アーキテクチュア

12月10日の午前7時45分ごろに崩落した、筑波大学第1エリアの1B棟(右側)と1C棟(左側)の2階を結ぶ連絡通路の屋根。S造で重さは約25トンある(写真:日経アーキテクチュア)

12月10日の午前7時45分ごろに崩落した、筑波大学第1エリアの1B棟(右側)と1C棟(左側)の2階を結ぶ連絡通路の屋根。S造で重さは約25トンある(写真:日経アーキテクチュア)

 筑波大学で校舎を結ぶ渡り廊下の屋根が崩落した。S造の屋根は25トン。築42年の古い建物だが、2015年10月に定期点検を実施していた。事故発生は2017年12月10日午前7時45分ごろ。人通りの多い場所で、平日の昼間だったら大事故につながっていた可能性もある。

 現場は茨城県つくば市の筑波大学第1エリア。1B棟(4階建て)と1C棟(5階建て)の2階を東西に結ぶ連絡通路の屋根が突然崩落した。気象庁のデータベースによると、同日の事故発生前に周辺での地震は観測されていない。

 事故の発生が日曜日かつ朝早い時間だったことで、けが人はいなかった。最初に気づいたのは1C棟に居た警備員で、ドンという大きな音を聞いたという。

 記者が取材した12月13日時点では、現場周辺への立ち入りは禁止に。屋根を撤去する50トンと100トンのクレーンを14日に設置するため、建物周辺にある駐輪場の屋根を取り外す作業が進んでいた。撤去には屋根の解体工事が必要で、騒音が発生する。20日からは期末試験が始まるため、29日まで作業の予備日を設定している。

1B棟と1C棟、連絡通路ともに1975年の竣工。施工者は浅沼組となる。連絡通路の屋根は2015年10月に定期点検していた(資料:筑波大学)

1B棟と1C棟、連絡通路ともに1975年の竣工。施工者は浅沼組となる。連絡通路の屋根は2015年10月に定期点検していた(資料:筑波大学)

 崩落した連絡通路の屋根は1975年竣工のS造(鉄骨造)。屋根が接続する1B棟と1C棟も同年の竣工となり浅沼組が一体で施工した。屋根は建物に固定した短い本体と、北側にせり出した長い本体で構成される。屋根の中央部は採光のため一部ガラス張りとなっている。寸法はせり出した長い本体の方が大きく、長さ17.5m、幅2.09m。建物に固定された短い本体は同10.4m、2.59mある。

 筑波大学広報室は「崩落箇所は3年ごとに定期点検を実施していた。最後の点検は2015年10月19日だった」と話す。老朽化による経年劣化の可能性が疑われるが、同大施設部では設計や施工などのあらゆる可能性について、外部の専門家に事故調査を委託する検討をしている。

1C棟と連絡通路屋根の接合部を事故現場の南側から撮影した写真。屋根は長短2つの本体があり、短い本体のみが建物に固定されていた(写真:日経アーキテクチュア)

1C棟と連絡通路屋根の接合部を事故現場の南側から撮影した写真。屋根は長短2つの本体があり、短い本体のみが建物に固定されていた(写真:日経アーキテクチュア)

 上は事故現場の南側に立って1C棟と連絡通路屋根の破断部分を撮影した写真だ。屋根は短い本体のみが1B棟と1C棟の2階入り口上部の壁面に固定されていた。崩落した鉄骨の接合部を近くで見た限り、屋根の軒先側で3カ所、棟側で5カ所をボルトで固定していたようだ。北側から南側に向かって1C棟の接合部を撮影した写真(下の写真)では、建物と連絡通路屋根を固定するボルト穴などが確認できなかった。北側壁面に見える黒い線は、「目地のコーティングとみられる」(施設部)という。

1C棟を事故現場の北側から撮影した写真。北側壁面には建物に屋根を固定するボルト穴などが見当たらなかった。写真中央に見られる北側壁面中央部の黒い線は目地のコーティングとみられる(写真:日経アーキテクチュア)

1C棟を事故現場の北側から撮影した写真。北側壁面には建物に屋根を固定するボルト穴などが見当たらなかった。写真中央に見られる北側壁面中央部の黒い線は目地のコーティングとみられる(写真:日経アーキテクチュア)

 1C棟2階から東側に立つ1B棟を写した写真(下の写真)では、屋根の長い本体が完全に2階の床面まで落ちている様子が分かる。このせり出した屋根は建物に直接固定されていないが、軒側で重さを支えるような柱はない。

1C棟2階から1B棟側に向かって崩落した屋根を撮影した写真。長い本体を支える柱などは見当たらなかった(写真:日経アーキテクチュア)

1C棟2階から1B棟側に向かって崩落した屋根を撮影した写真。長い本体を支える柱などは見当たらなかった(写真:日経アーキテクチュア)

 逆方向となる1B棟2階から撮影すると、長い本体は短手方向に張り出した片持ち鉄骨に固定して重量を支えていたことが分かる。この片持ち鉄骨がどのように建物と結合していたかは、調査の結果を待つ必要がある。

1B棟2階から1C棟に向かって撮影した写真。手前に屋根の長い本体を水平に支える片持ち鉄骨が見える(写真:日経アーキテクチュア)

1B棟2階から1C棟に向かって撮影した写真。手前に屋根の長い本体を水平に支える片持ち鉄骨が見える(写真:日経アーキテクチュア)

 今回の崩落事故を受けて、筑波大は12月12日に学内の連絡通路を緊急調査した。キャンパスが広大なため調査対象は77カ所に及んだ。接合部の劣化状況をはじめ、構造や設置階数などを目視で確認。集めた情報に基づいて、事故現場と類似の場所を判定するという。

(日経アーキテクチュア 江村英哲)

[日経アーキテクチュアWeb版 2017年12月18日掲載]

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