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レアルやバルサは… 欧州CL決勝Tの見どころ

欧州チャンピオンズリーグ(CL)は1次リーグを終え、16強による決勝トーナメント1回戦(2018年2、3月)の組み合わせが決まった。いきなりレアル・マドリード(スペイン)とパリ・サンジェルマン(フランス)、バルセロナ(スペイン)とチェルシー(イングランド)が激突する2カードが早くも話題になっている。対戦は2カ月先なので不確定要素があるが、現時点の戦力を分析すると――。

ともに3トップの破壊力

レアルとパリSGはともに3トップの破壊力が持ち味。3人の個の力を押し出して戦う点でスタイルは似ている。

しかし、3人の力を単純に比較すると、ロナルド、ベンゼマ、ベイルを擁するレアルが上回る。ベイルが故障で欠場するとしてもアセンシオがいる。

パリSGのネイマール、エムバペ、カバーニも破壊力があるが、3人ともロナルドほどのレベルのフィニッシャーではない。

ロナルドはドリブルで相手を振り切り、そのまま一人でゴールを決めてしまう。一発で仕留める力を比べるとネイマールでも及ばない。カバーニもフランスリーグだから点が取れているのではないか。

パリSGは1次リーグの6試合で25得点を記録したが、明らかに格下のアンデルレヒト、セルティックを相手に大量点を奪った結果だ。これから当たる強豪の守備陣を相手にすると、ここまでの爆発力は発揮できないのではないか。

レアルのCBセルヒオ・ラモス、バランに穴がないわけではないが、4バックと中盤の3人を含めた7人による守備力は高い。ジダン監督は時間帯によっては守りに徹する現実的な試合運びもする。

もう一つのレアルの強みは中盤に戦術眼の優れたモドリッチがいること。攻めに出ていくとき、守備に徹するときの見極めに狂いがなく、レアルは攻めのスイッチをここで入れる。ギリギリの勝負になったときに、こういう選手が効いてくる。

レアルは中盤の人材が豊富だが、アンカーにカゼミロ、その前にモドリッチとクロースというのがベストの組み合わせだろう。この3人は大舞台を踏んだ経験が豊富で、試合の流れを読める。

カゼミロは基本的に真ん中のポジションから外れず、CBを補佐しながら守備に徹する。

クロースはちょっと引いてボールを預かり、サイドの深いところに早いタイミングでロングパス、サイドチェンジのパスを配る。この配球で攻めにスピードがつく。

モドリッチは広い範囲をカバーして、トップに当てたパスのリターンをもらって細工を施す。トップとカゼミーロの間を埋めて攻守で働く運動量はとてつもない。

ここがレアルの心臓部であり、逆の言い方をすると、ここが機能しないとレアルはつらくなる。

ジダン監督の考えどころは、攻めにアクセントをつけるイスコをどう使うかだろう。イスコはトップが動いてスペースを空けたところに進入していくのがうまい。前の選手を使いながら自分を生かすタイプなので、ペナルティーボックスの近くでプレーさせないと意味がない。

ロナルドとベンゼマの2トップにして、トップ下にイスコを置くのが一番だろうが、先発させるより途中で投入して変化をつけるほうがいいのかもしれない。試合が膠着したときに生きる選手だ。

パリSGは中盤のラビオ、ベラッティがキーになるが、チーム全体として大舞台を踏んだ経験値が低い。昨季の欧州CL決勝トーナメント1回戦の第1戦を4-0で大勝しながら、第2戦でバルセロナに6点を奪われ大逆転を許したのも、経験値の低さが原因だったような気がする。

終盤に追い詰められたらバタバタしてしまった。あんなことは普通では考えにくい。

総合力では明らかにレアルが上。パリSGのエメリ監督は長い間、バレンシア、セビリアなどの監督を務めた経験から、レアルの怖さを知っている。

普段は高い位置を取るSBのダニエウ・アウベス、クルザワに自重させ、慎重な試合運びをするかもしれない。

特にレアルがホームの第1戦は我慢するしかない。メンバーも守備重視に変え、中盤を厚くする可能性もある。しかし、そうなるとパリSGの持ち味が出ない。ジレンマを抱えながらの難しい戦いになる。

第1戦を引き分けでしのいで、第2戦にレアルが多少、無理をして前に出ざるをえない状況に持っていけるかどうかがポイントになる。レアルが変に前掛かりになれば、パリSGに両SBの裏を突く速攻のチャンスが巡ってくる。

対照的なバルサとチェルシー

バルセロナとチェルシーは対照的なチームだ。バルセロナはしっかりボールを保持し、丁寧な攻めに徹する。イタリア人のコンテ監督が率いるチェルシーはがっちり守って逆襲速攻に賭ける。

チェルシーは3バックに両アウトサイドのMFが加わり、5人でラインを形成する。その守り方が今季は相手にだいぶ研究されてきている。

相手が外から中に入ってくると、アウトサイドのアロンソやザッパコスタが引っ張られる。空いたサイドのスペースに後方から進入され、CBが外におびき出される。

そういうケースでの応対がうまくいっていない。CBのダビド・ルイス、ケーヒルらにそれほどスピードがあるわけではないので、機動力にも弱い。

たとえば、バルセロナのメッシが外から中にドリブルを仕掛けたら、チェルシーのアウトサイドの選手はついていかざるをえない。ドリブルで加速されたら、止めようがなくなりフィニッシュまで持っていかれてしまう。

しかし、メッシについていくと、サイドのスペースにSBセメド、ジョルジ・アルバが出てきて、MFとのコンビで崩される。メッシはサイドの動きを見逃さず、ポンと外に振って、自分はゴール前に詰めていく。

バルセロナの中盤はブスケツがアンカーで、その前にパウリーニョとイニエスタかラキティッチという構成になる。新加入のパウリーニョは前線への絡み方がスムーズでゴールも奪う。

チェルシーにすれば、メッシ、ルイス・スアレスにばかり集中していられない。今季のバルセロナはネイマールという大駒を失ったが、むしろパスの回りはよくなった感じで一体感がある。

チェルシーの攻めはモラタにアザール、ペドロ(あるいはウイリアン)らのカウンター頼みで、ちょっと迫力に欠ける。MFのカンテ、バカヨコは守備に追われ、攻撃参加が十分できないかもしれない。

ホームで戦う第1戦もアウェーの第2戦も戦い方は変えず、守備に重点を置き、少ないチャンスをものにするしかない。1点勝負に持ち込まないと勝機はない。

一方のバルセロナもホームだろうがアウェーだろうが戦い方は変えない。戦い方を変えたら、このチームはおかしくなってしまう。どういう状況でも攻める。

戦力的にはやはりバルセロナが上回る。もしチェルシーが勝つとしたら、そのときの主役は元バルセロナのペドロになるような気がする。こういう小さいけれど、瞬間的なスピードのある選手にバルセロナは弱いのではないか。

ユーベ―トットナム戦も注目

もう一つ、注目カードを挙げるとしたら、ユベントス(イタリア)とトットナム(イングランド)の対決だろう。

格からいえばユベントスが上だが、今季はCBキエリニ、バルザリ、GKブフォンに明らかに陰りがみえ、最盛期のような安定感がない。

前線にはイグアイン、ディバラ、クアドラド、ドウグラス・コスタといった実力派がそろっているが、看板の守備が盤石でないとユベントスの持ち味は出ない。

トットナムにはケイン、アリ、孫興民といったスピード豊かでパワフルなアタッカーがそろっている。エリクセンが彼らを生かすパスで攻めを組み立てる。イングランドの中でも攻めが速い方で、一気に崩す力がある。

高い位置でプレスをかけて、そこで相手のパスを引っ掛けてからの切り返しが速い。失うもののないトットナムはチャレンジャーに徹することができる。

国内リーグでは苦戦しているが、欧州CLではすでにレアルを破っている(1勝1分け)。今回も番狂わせを起こす要素がかなりある。ユベントスにしたら、こういうチームは嫌だろう。

(元J1仙台監督 清水秀彦)

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