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ヤンキース、MVPスタントン獲得の舞台裏
スポーツライター 杉浦大介

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2017/12/18 6:30
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ヤンキースがマーリンズとのトレードでジアンカルロ・スタントン外野手を獲得した。2017年シーズンに59本塁打を放ち、ナ・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いた大砲だ。生え抜きの若手中心のチーム編成にかじを切って成功を収めていたヤンキースは、なぜ「過去」をほうふつさせる大胆な補強策に打って出たのか。

17年シーズンは若手中心のメンバーでア・リーグ優勝決定シリーズに進出し、ワールドシリーズまであと1勝に迫った。15年シーズン途中に始めた生え抜き選手の起用が功を奏し、先行きは明るいようにみえた。

17年シーズンの241本塁打は全30球団で1位。得点も2位とすでに攻撃力は抜群。アーロン・ジャッジ、ゲーリー・サンチェス、グレグ・バードといった20代半ばの選手が順調に育てば、今後も毎年のように優勝争いに絡む可能性は高い。現在の陣容では、ジャッジやサンチェスと同じ右打ちの外野手は必要ないようにみえる。そのため、経費削減を目指すマーリンズがスタントンのトレードを模索していると伝えられても、ヤンキースが動くとは考えられていなかった。

しかし、米フロリダ州オーランドで大リーグの球団幹部や代理人らが一堂に会するウインターミーティングが始まる直前、スターリン・カストロ二塁手に加え、2人の若手プロスペクト(有望株)と引き換えに、ヤンキースはスタントンの獲得を発表した。

17年シーズン、大リーグ全体で50本塁打以上を打ったのはスタントンとジャッジだけで、ヤンキースはその両選手を抱えることになった。インパクトの大きな戦力補強であることは言うまでもない。それと同時に、14年にスタントンがマーリンズと結んだ13年総額3億2500万ドル(当時の為替レートで約377億円)という途方もない契約の残り9年を引き継ぐことにもなった。昨夏以降は珍しく緊縮予算に徹していると伝えられたヤンキースの大胆な動きに、驚かされたファンもいたはずである。

「膝の上に落ちてきた」

ただ、詳しくその過程をたどっていくと、今回のトレードをヤンキースが無理強いしたわけではないことがすぐにみえてくる。むしろ「スタントンはヤンキースの膝の上に落ちてきた(fell into their lap)」という表現が使われたくらいだった。

デレク・ジーター氏ら新オーナー陣に引き継がれたマーリンズは、今季は約1億1500万ドル(約129億円)だったペイロール(年俸総額)を約9000万ドルまで削減することを画策。そこで注目されたのがチーム最高給取りであるスタントンの放出だった。平均年俸2500万ドルのスタントンがいなくなれば、より柔軟なチーム編成が可能になる。03年以降はプレーオフ進出がなく低迷する低予算球団のマーリンズにとって、チーム一のスーパースター放出はやむを得ない策だった。

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