「米法人税率21%」決着 税制改革、成立の公算

2017/12/16 10:15
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=河浪武史】米与党共和党の指導部は15日、35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案を最終決定した。党内の一部の反対派議員も賛成に転じ、来週に上下両院で可決する公算が大きくなった。減税規模は10年で1.5兆ドル弱となる。国際課税では世界的に批判のあった「物品税」を見送るが、多国籍企業の多額のグループ内取引には新税を課す。

下院は早ければ19日、上院も20日に同法案を採決する方向で調整に入った。上院は共和党が過半数ぎりぎりの52議席しか持たないが、税制改革に反対していた複数議員が15日に賛成票を投じる意向を表明し、可決の見通しが強まった。トランプ米大統領は来週中に法案に署名して成立させる考えで、大型選挙公約は実現に大きく近づいた。

焦点の連邦法人税率は18年から35%から21%に引き下げる。国・地方を合わせたベースで日本やドイツ、フランスなど主要国より低い税率となる。

下院は18年に20%に、上院は急激な財政悪化を懸念して19年から20%に下げる案を可決していた。両院は税率の下げ幅を1%分抑えて財政に配慮する一方、18年からの即時減税に踏み切ることにした。

米企業の海外所得への課税も原則として廃止する。米税制はやや特殊で、企業が海外で稼いだ利益にも税を課す「全世界所得課税方式」だ。米企業は海外子会社から配当を受ける際に35%の高税率が課せられる(海外納税分は除外)ため、海外に2.5兆ドルもの資金をため込んだままだった。

新たな税制法案ではこの配当への課税を原則なくす。米企業は海外留保資金を本国に戻して設備投資や企業買収に充てやすくなり、株主への配当増などで株価などの押し上げ効果も期待できる。

国際課税では多国籍企業の取引に新税を課す。海外の関連企業との取引量が大きい米企業には、支払額の一部に課税する。製薬会社やIT(情報技術)企業など、知的財産権を海外に移転して米国で課税逃れするケースがあるためで、新税で課税の抜け穴を防ぐ。

ただ、課税対象からは原材料や部品などの支払いを原則除き、下院が採択した「物品税」の導入は見送った。下院は企業の海外取引に最大20%の税率を課す案を提示しており、自動車メーカーなど日本企業にも大きく影響する可能性があった。最終案では新税を創設するものの課税範囲は下院案に比べ限定的になった。

個人所得税は現在39.6%の最高税率を37%に下げ、個人の税負担を一定規模減らせる概算控除も2倍に増やす。遺産税(相続税)も減税する。子育て世帯への税額控除を拡充し、税制法案に反対していた共和党の一部上院議員が賛成に転じるきっかけになった。医療保険制度改革法(オバマケア)の一部廃止も盛り込んだ。

減税規模は10年間で1兆4560億ドルと見込んだ。トランプ氏が大統領選で掲げた減税案は同4兆~5兆ドル規模とされたが、議会は財政悪化を不安視して規模を縮小した。ただ、それでも過去最大とされた01年の「ブッシュ減税」を上回る規模となる。減税法案が成立すれば、米国ではレーガン政権だった1986年以来、約30年ぶりの大型税制改革となる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]