「売る側」に回ったメディア王、一族内の力学も変化
21世紀フォックス、同業ディズニーに資産売却

2017/12/14 23:39
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21世紀フォックスを率いるルパート・マードック氏(86)は、果敢な買収戦略で世界有数のメディア企業を育て上げた。なぜ「メディア王」は王国の分割を急いだのか。

「十分な規模がない」。マードック氏は近年、こんな懸念を周囲に漏らしていたという。

21世紀フォックスは映画部門の「20世紀フォックス」、地上波テレビ局「FOX」などを傘下に抱え、メディア企業としてはディズニー、コムキャストに次ぐ3位の存在だ。同業他社の数々の買収で「マードック帝国」は大きくなったが、ここ数年は得意の買収戦略がうまく進まなかった。

2014年に同業のタイムワーナーに買収を仕掛けたが、拒否されて失敗。16年には英有料テレビ大手スカイの完全子会社化に動く。欧州で幅広く事業展開する同社の獲得は悲願だったが、英政府の承認獲得に苦戦。計画発表から1年以上が経過しても、手続きは完了していない。

この間、米国などで「スマートフォンで十分。テレビはいらない」という世代が急増。「FOXニュース」の視聴者の平均年齢(中間値)は今や67歳という。次の一手を急ぐ必要があった。

フォックスの議決権の4割近くを握るマードック一族内の力学も影響したとされる。今回の事業売却に伴い、次男ジェームズ・マードック氏(45)のディズニー入りがささやかれている。同氏は「保守メディア」を率いることを誇る父親と違い、夫婦でリベラル派。「次はディズニーの経営トップを目指すのでは」との見方も浮上する。

一方、ルパート氏その人の動向も目が離せない。米国では、42年ぶりの規制緩和で新聞・テレビの兼業が容認された。新聞・出版が主力である傘下のニューズ・コーポレーションと、ディズニーへの事業売却後に残ったテレビ放送事業の再統合に挑むとみられている。

(ニューヨーク=清水石珠実)

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