松岡茉優 22歳の演技派、芸歴14年で映画に初主演
ドラマ主演やヒロイン役を重ねる一方、バラエティー番組などでも活躍する松岡茉優。芸歴14年を数える彼女が、綿矢りさの小説を原作とした『勝手にふるえてろ』で、ついに映画初主演を果たす。妄想を重ねて暴走するOL役で、コメディエンヌとしての才能を見せた。

「いろいろな座組で先輩方の主演姿を見てきたので、自分の映画主演はまだまだ先のことだと思っていました。プレッシャーもありましたけど、14年で培ってきたものをすべて詰め込むつもりで挑みました」
演じたのは、10年間片思いを続ける脳内彼氏の「イチ」と、人生で初めて告白されたリアル彼氏の「二」との間で揺れ、妄想に妄想を重ねて、暴走するOL・ヨシカ。コミュニケーションが苦手な個性的なキャラクターだが、松岡の演技はハマって見える。
「ヨシカは女性が持っている様々な要素を詰め込んだような子。紙一重で、ほぼ私だと思います(笑)。難しかったのは部屋のシーン。会話の演技と違って、喜ぶ、落ち込む、復活するなどの感情の起伏を、自分1人のタイミングで次々と舵を切らなきゃいけないので」

松岡ならではの小気味良い芝居で笑わせながら、自意識がねじれて直進できないヨシカに共感させる。コメディエンヌとしての才能を焼きつけた作品になった。
「まずはヨシカ的な、生きづらそうな女子に見てもらって、救われてほしい(笑)。私もヨシカを演じることで、傷つくことを恐れず、時には考えるよりもまず行動してみてもいいのかな、と思うようになりました」
ファン層を広げた1年
2017年は、4月から倉本聰脚本の昼ドラ『やすらぎの郷』に出演。7月には『ウチの夫は仕事ができない』で錦戸亮と夫婦役を演じ、10月は『コウノドリ』の続編で成長した医師・下屋加江役を見せた。
「ついに私も、『コウノドリ』では先輩役です(笑)。16年の大河ドラマ『真田丸』と『やすらぎの郷』で上の世代の方に知っていただけて、『ウチの夫』では若い女の子とか、20代の男性からお手紙をいただくようになりました」
18年3月には、『真田丸』の三谷幸喜が作・演出を手掛ける舞台『江戸は燃えているか』に立つ。
「また三谷さんの作品に参加させていただけることがとてもうれしいです。心を込めて、まずは舞台を頑張ります。18年もバラエティーなどにも挑戦しながら、一番大好きな、俳優という仕事を極めていきたいです」
(ライター 泊貴洋)
[日経エンタテインメント! 2018年1月号の記事を再構成]
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