2019年7月22日(月)

ミリガン氏、いびつな関係痛感 東芝・WD和解

2017/12/14 6:30
保存
共有
印刷
その他

半導体メモリー事業を巡って対立してきた東芝と米ウエスタンデジタル(WD)は13日、互いの法的措置をすべて取り下げることで合意したと発表した。WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が振り上げた拳を下ろしたのは、協業相手との無益な係争に終止符を打つためだ。10カ月に及ぶ対立でミリガン氏は東芝優位のいびつな協業関係を痛感することになった。

ウエスタンデジタルCEOのスティーブ・ミリガン氏

ウエスタンデジタルCEOのスティーブ・ミリガン氏

「わび状の1枚くらいは持ってきてほしい」。両社の和解が間近に迫った12月上旬、東芝の幹部は周囲に軽口をたたいていた。東芝側にはWDは「協業先を訴える無法者」と映る。しかしWD側は「東芝自らのM&A(合併・買収)の失敗で我々が迷惑を受けるのは許しがたい」とのいら立ちが募っていた。

一事が万事、両社の対立はボタンの掛け違いが続いてきた。5月にWDが繰り出した法的措置は「会話すら阻んでいる協業相手を交渉のテーブルに着かせるためのもの」(米系半導体メーカー幹部)だったという。技術特許が最大の資産となる半導体メーカーにとって、法的措置は「日常茶飯事」(東芝幹部)だ。

それにもかかわらず東芝は法的措置に反発して技術情報へのアクセス遮断など、開発現場の停滞を招く対抗策まで繰り出し混乱に拍車をかけた。

10カ月に及ぶ同社の対立の原点にはミリガン氏の誤解がある。

「なぜサンディスクの社名がないんだ」。ミリガン氏が東芝メモリの四日市工場を訪れた時、工場の建屋にある東芝ブランドを仰ぎ見て思わずつぶやいた。ミリガン氏は東芝とサンディスクの合弁契約は「対等」という前提でサンディスクを買収する判断を下した可能性が高い。実際に合弁契約書を見ても投資負担は折半で、双方の権利も対等だったためだ。

しかし東芝とサンディスクの現場を見れば「対等」とはほど遠い。協業先の四日市工場の従業員数は東芝が約6200人に対して、サンディスクは700人前後。生産活動や生産設備の発注は東芝が担う。設計開発の分野では両社が協業するものの、半導体メモリーの競争力の源泉といえる生産技術の主体は東芝に大きく偏っている。

東芝社内には「サンディスクはベンチャーで、主従関係は明確」(幹部)との意識が強い。WDがサンディスクを買収した後も協業先への東芝の認識は変わらなかった。

両社の係争は東芝の優位で幕を閉じた。13日に電話会見したミリガン氏は「我々が17年間、東芝とともに築いてきた技術を保護できると判断したので合意に至ることができた。この合意はすべての当事者にとっての勝利だ」と話すのが精いっぱいだった。東芝は何も語らず、両社の協業の行方に暗雲を感じさせる会見だった。

(細川幸太郎)

[日経産業新聞 12月14日付]

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。