日本経済新聞社、日本経済研究センター、テレビ東京が主催する「年末エコノミスト懇親会」が13日夜、都内のホテルで開かれた。茂木敏充経済財政・再生相や日銀の黒田東彦総裁ら約350人が参加した。
8日発表の7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は7四半期連続のプラス成長だった。出席者の間では2018年も世界景気が順調に拡大するとの見方が多かった。
茂木経財相は一段の成長に向けて「今後3年間を集中投資期間として設備投資を10%伸ばしたい。過去最高の企業収益がさらなる賃上げに向かう環境整備を進める」と強調した。
黒田総裁は「経済自体は非常にうまくいっている。経済の実態に合わせた適切な政策を進めたい」と話した。今後の見通しについては「経済が安定し、賃金と物価が緩やかに上昇することがさらに続くことを期待している」と述べた。
ニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり主席研究員は「18年も世界経済の拡大と円安が輸出を後押しし設備投資の増加が続く」と話した。一方、低迷が続く個人消費については「物価変動の影響を除く実質ベースの所得が伸び悩むので、伸びは限定的だろう」と慎重だった。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「18年は米国株の動向が日本と世界経済の命運を左右する」と指摘。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策について「利上げ路線のさじ加減によっては、株価急落で景気に下振れ圧力が加わりかねない」と語った。
経済界からは政権への注文が相次いだ。経済同友会の小林喜光代表幹事は「18年は基礎的財政収支目標の見直しがある。政府・日銀は景気の腰を折ることなく、財政の持続可能性を追求してほしい」と述べた。
キッコーマンの茂木友三郎名誉会長は今後の消費動向について「賃上げも必要だが、将来不安を払拭するための政策が必要。財政再建や社会保障改革を進めてほしい」と政府に注文をつけた。