ドリームリンク、後継者不在の酒蔵を子会社化
居酒屋「半兵ヱ」などを全国展開する外食チェーンのドリームリンク(秋田市)は13日、日本酒「千歳盛(ちとせざかり)」で知られるかづの銘酒(秋田県鹿角市)を完全子会社化したと発表した。後継者が不在だった酒蔵の経営を引き継ぎ、自社の居酒屋店舗などで販売を拡大する。ドリームリンクによるM&A(合併・買収)は初めて。
同日、かづの銘酒の全株式を取得した。取得額は非公表。従業員6人の雇用は継続し、かづの銘酒の田村清司社長は役員として残る。
後継者不在に悩んでいた田村社長が昨年、秋田商工会議所の「秋田県事業引継ぎ支援センター」に相談し、登録民間支援機関の秋田銀行がドリームリンクを紹介した。田村社長は同日、秋田市で記者会見し「地域に戦後5軒あった酒蔵が今は1軒になったが、鹿角の酒造りの火を消してはいけないと思っていた」と安心した表情で語った。
ドリームリンクは千歳盛の販路を拡大するほか、酒蔵ツアーを企画したり、自社の料理にあう酒を開発するなどして相乗効果を図る。村上雅彦社長は「秋田は清酒王国で酒蔵は財産。100年続く企業を残すためにこれからも力を尽くしたい」と話し、今後も同種案件の相談があれば前向きに検討する考えを示した。
ドリームリンクは居酒屋などを全国に106店舗展開している。年商は約50億円。かづの銘酒は1872年創業で、年間に清酒約6万5000リットルを生産し、年商は約6000万円。