除染土を路床に利用 環境省が一般の道路で実証へ

2017/12/13 23:00
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日経コンストラクション

環境省は、除染で発生した土を福島県二本松市の道路で路床に利用する実証試験を行うと、2017年12月5日に発表した。除染土を再利用する実証試験は南相馬市にある除染土の仮置き場の敷地内で行われているが、一般の住民が通れる道路で実施するのは初めて。環境省は居住制限区域などの規制エリアに指定されていない場所で安全性を確認できれば、除染土の再利用促進につながるとみている。

福島県南相馬市で行っている実証試験の様子。除染土を再利用した盛り土を造成し、大気中や排水の放射能濃度をモニタリングしている(写真:環境省)

福島県南相馬市で行っている実証試験の様子。除染土を再利用した盛り土を造成し、大気中や排水の放射能濃度をモニタリングしている(写真:環境省)

実証試験では、除染土の再利用について環境省が2016年6月にまとめた「基本的考え方」に沿って被覆し、大気中の放射性物質の濃度変化を確認する。地中の浸透水の濃度変化なども調査対象とする。併せて、施工性や安全性への影響の有無も確認する。

二本松市原セ地区の仮置き場に保管している除染土約500m3(立方メートル、大型土のう約500袋)から有機物や金属、放射性物質の濃度が高い土壌などを除去して用いる。粒度や強度などは、路床の構造材料として適合するように調整しておく。

施工場所は、原セ地区の未舗装の市道。延長約200mにわたって掘削し、再生した除染土を投入して転圧し、路床とする。路床の上に砕石や土砂による路盤材を敷設し、その上をアスファルト舗装する。再生材の被覆土となる路盤とアスファルト舗装を合わせた厚さは50cm以上とする。

施工中は放射性物質の飛散や流出を監視するとともに、作業員の被ばく線量も管理する。施工後は大気や浸透水の放射性物質濃度などを一定期間、モニタリング。構造材としての安定性も検証する。

 環境省の「基本的考え方」では、公共事業で盛り土などに利用する土壌の放射性物質の濃度を1kg当たり8000ベクレル以下などと示した。加えて、被ばく線量を低減するため、土砂やアスファルトで50cm以上の被覆をすることが必要だとしている。

原セ地区に保管されている除染土は、環境省が一部を抽出して調べたところ、平均で1kg当たり1000ベクレル程度だった。

早ければ年内に実証試験の施工者を公募し、18年3月までに契約を結ぶ。除染土からごみなどを除去するためのヤードの整備を含め、18年度中に施工を終えてモニタリングを始める予定だ。結果は、環境省が18年度末までにまとめる予定の除染土の再利用に関する手引に反映させる。

16年12月から実証試験を進めている南相馬市内の仮置き場では、厚さ50cmの購入土(新材)で被覆し、法面に芝を張って浸食を防止している。除染土も、新材と同等の施工性があることを確認済みだ。環境省によると、大気中や浸透水などへの放射性物質の濃度は、検出下限値を下回る状態が続いている。

(ライター 山崎一邦)

[日経コンストラクションWeb版 2017年12月13日掲載]

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