2018年1月23日(火)

所有者不明の土地、現代版検地を 民間報告書

経済
地域総合
2017/12/13 10:50
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 増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる「所有者不明土地問題研究会」は13日、所有者がわからない土地に関する問題の最終報告をとりまとめた。国や自治体が利用できる土地は所有権を放棄できる制度や、不動産登記や戸籍情報などの統合データベースの構築を提言した。5~10年程度の集中期間に所有者を特定する「現代版検地」の実施も提案した。近く政府に政策提言する。

所有者不明物件が原因で土地の境界を確定できない(右奥の建物。神戸市内)

所有者不明物件が原因で土地の境界を確定できない(右奥の建物。神戸市内)

 現在は土地を相続した人が離れた場所に暮らしていたり、活用や売却ができなかったりする場合、登記を放置する人もいる。こうした事情が所有者不明土地を生み出す背景にあるとして、受け皿となる新組織の立ち上げを提案した。

 新組織は公的機関に近いイメージで、所有者の相談に応じたり、国や自治体に土地の取得を打診したりする。公的利用が見込める土地は国や自治体が取得する。それ以外の土地は新組織が活用したり、民間に売却したりする。増田氏は「土地の準公有化につながる組織になる」と指摘した。

 土地情報のデータベース「土地基本情報総合基盤」(仮称)は固定資産課税台帳や不動産登記、戸籍、住民基本台帳をひも付ける。所有者探しにつながる情報を増やし、所有者不明土地の発生を防ぐ狙いだ。

 こうした対応に合わせて、不明土地の所有者を集中的に確認する「現代版検地」の実施を提案した。一定期間、所有者から申し出がなかった場合は、その土地は新組織が利用できるようにする。新組織に膨大な土地が集まった場合、財源負担のあり方は大きな問題となる。増田氏は「将来的に無居住地域が広がる中、軽微な管理に必要な費用は税で負担すべきだ」との見方を示した。

 所有者不明土地を巡っては、同研究会が6月、不動産登記などの所有者台帳からは現在の持ち主をすぐに特定できない土地が、16年に全国で410万ヘクタールに達するとの試算を公表。10月には、対策を講じないまま40年まで推移すれば、北海道本島(約780万ヘクタール)に迫る規模になるとの推計をまとめた。

 所有者不明土地が引き起こす経済損失に関する推計も10月に公表した。16年の損失額は約1800億円に上り、17~40年の累積損失額は6兆円規模に及ぶとした。

 所有者不明土地問題に対応するため、国土交通省は18年の通常国会に特別措置法案を提出する方針だ。公共事業で利用する際に土地収用の手続きを簡略にしたり、公園や広場などで公益的に使える「利用権」を創設したりする。利用権は最低5年間程度で検討する。

 所有者を探す国や自治体の作業も合理化する。現在は所有者探しには活用できない固定資産課税台帳や電力・水道事業者の持つ情報などを行政機関が利用できるようする。一方、個人情報保護などの観点から、地元に詳しい人や近隣住民への聞き取りは取りやめ、親族などに限るようにする。

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