2019年7月17日(水)

骨再生しやすい新素材、信大が開発 チタン繊維活用

2017/12/12 23:00
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信州大学は12日、骨折や病気で切除した骨の再生治療に役立つ新素材を開発したと発表した。チタン繊維をそのまま板材に成形した素材で、通常の治療に使うチタン板に比べて骨の元になる細胞が接着しやすい。強度も骨に近く、体内に埋め込んで使えることを動物実験で確認した。整形外科分野で幅広く利用できる見通しで、臨床応用を急ぐ。

チタンの金属繊維を成形して3次元構造の板材(写真)にすると、骨組織と一体化しやすくなる

開発した新素材はチタンの金属繊維を独自の手法で圧縮して厚さ0.2ミリメートルの板材にした。骨の元になる細胞を培養して付着させ、動物に移植したところ、骨の細胞が素材の中まで入り込んで大半が接着・保持されており、骨と素材が一体化していた。

複雑な骨折をしたり、腫瘍などの病気で骨を切除したりした場合の治療では、チタン板を埋め込んで足場とし、骨を再生させる。開発した素材は通常のチタンに比べて、骨の接着性能が極めて高い。原料の繊維の形状が残り、無数の穴があいた立体構造になっていることが骨の修復能力を高めることにつながっていると考えられるという。

強度は骨に近くなるように設計した。通常のチタンは強度が骨よりもかなり高く、体に埋め込んだままにしておくと骨のほうが脆弱化する現象が起きる。このためチタンを抜き出す再手術が必要になる。今回の素材を使えば再手術を回避でき、患者の体にかかる負担を軽減できる。

今回の研究は同大学が力を入れている「医工連携」の成果。バイオメディカル研究所が中心になり、工学部機械システム工学科で設計・開発した材料を使った。生体に埋め込んだ際の性能は医学部付属病院の整形外科で実験・確認した。

チタンはすでに医療用で使われている。同日、記者会見したバイオメディカル研究所の斎藤直人所長は「(開発した新素材の)臨床応用へのハードルは高くない。骨の様々な治療に広く使える材料だ」と話している。材料を実用化する企業と連携し、早期の臨床応用を目指す。

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