シスコ、チェンバース氏退任 成長路線復帰 後任に託す

2017/12/13 2:00
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米シスコシステムズのジョン・チェンバース会長が11日に退任した。20年にわたって最高経営責任者(CEO)を務め、インターネットの波を捉えて売上高を40倍に引き上げた「中興の祖」だ。近年はルーターなどの製品が振るわず、業績が伸び悩んでいた。本格的なソフトウエア企業への転換と成長路線への復帰は、後進のチャック・ロビンスCEOに委ねることになる。

退任したシスコのチェンバース会長

「技術的にも社会的にもここまでシスコに貢献した人はいない」。11日にサンノゼ市で開かれたシスコの株主総会、議長のロビンス氏はこう言い、チェンバース氏を壇上に呼び寄せた。

1991年にまだスタートアップ企業の面影を残すシスコに入社したチェンバース氏にとって、今回は取締役として臨んだ最後の株主総会だ。「27年前に世界を、働き方、生き方、学び方、遊び方を変えると私が言った時『ルーター屋ふぜいが』とみんな信じなかったでしょう。でもネットが可能にした」。笑顔をたやさず歩き回りながら立て板に水のごとく話すスタイルで振り返った。

実際、チェンバース氏のCEO時代に、シスコはネットという革命の力を全身で享受した。シスコのネットワーク機器は電子メールの送信やネットでの商取引に欠かせないインフラにあたる。そこをてこに大企業のデータを保管するサーバーや無線機器、会議システムなどへと事業範囲を拡大。同氏がCEOに就任した95年に12億ドルだった売上高は、2017年に480億ドルに成長した。

チェンバース氏の大きな功績はM&A(合併・買収)の企業文化を植えつけたことだ。顧客の要望に応えるうえで足りないものは買収して品ぞろえに加えた。17年もデータ解析のアップダイナミクスや、ウェブ会議システム大手のブロードソフトを買収し、これまでに傘下に入れた企業は約200社に上る。

ただ企業が独自のITシステムを構築せずにクラウドサービスを使う流れへの対応は遅れた。汎用品化したルーターやスイッチの売り上げは減少基調にある。

シスコは「ソフト企業への転換のため」と説明するが、売上高はこの5年間ほぼ横ばい。ネットワーク機器では揺るがぬ首位ではあるが、時価総額はアマゾン・ドット・コムなどと比べて見劣りする。

「シスコはデジタル化をけん引し、再び世界を変える」。チェンバース氏がこう締めくくると、総会の会場は拍手に包まれた。最近では顧客基盤という資産を生かしてグーグルと組むなど、買収以外の戦術も取り入れ始めた。今度はあらゆるモノがネットにつながるIoTの波を捉えて、成長路線を取り戻せるか。チェンバース氏が残した課題をロビンス氏が引き継ぐことになる。(シリコンバレー=佐藤浩実)

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