大学新テスト、7割が評価 学長アンケート

2017/12/13 8:38
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高校・大学教育と入試を一体で変える高大接続改革が本格化している。その目玉となる大学入学共通テスト(2020年度開始)について学長アンケートで尋ねたところ、69%が評価できるとした。6割強が多面的・多元的評価に基づく選抜を今後広げていく考え。国際戦略では海外の協定校・交流校の拡大に取り組むとする回答が最も多く、83%に上った。

文部科学省は、現行の大学入試センター試験に代えて導入する共通テストの実施方針を7月に公表。記述式問題や英語の民間検定・資格試験の導入が決まった。

同方針を「評価できる」「ある程度評価できる」としたのはそれぞれ9%、60%。理由(複数回答)を選択肢から選んでもらったところ、最多は「今後求められる学力の育成に資する」で71%。「高校教育の改善につながる」(67%)、「多面的・多元的な評価ができる」(58%)、「英語の4技能全てを評価できる」(55%)と続いた。

一方、「あまり評価できない」「評価できない」とした学長は全体の24%。理由は「英語の民間試験への全面移行に不安・疑問」が55%で最も多かった。「コストに見合うだけのメリットがない」(50%)、「記述問題の解答字数が少なく求める学力を十分に評価できない」(47%)を挙げる学長も目立った。

入試改革に関する意見を自由に書いてもらったところ非常に多くの意見が寄せられた。改革の理念は支持しても、進め方などの具体策で異議を唱える内容が多かった。

例えば、ある旧帝大の学長は「基本的な方向に異論はないが、実施に向けた課題を克服するための議論が足りない」と記した。私大からも「目的や理念が先行しすぎ」「実施方針だけでは各大学が選抜方針を検討するには不十分」など、情報不足や改革の拙速さを指摘する声が相次いだ。

英語の民間試験導入への不安は根強い。高校現場の混乱も懸念されており、文科省は丁寧な対応が求められそうだ。

アンケートでは自校の入試改革についても聞いた。記述式問題については46%が「すでに導入しているが、今後拡充したい」としており、「すでに十分導入している」は27%。人物評価や多面的・多元的評価に基づく選抜は64%が今後広げていく考えがあると答え、課題として「人手や時間(の確保)」「高校調査書の電子化」などが挙げられた。

個別入試で今後重視する要素を複数回答で聞いたところ、「各教科の学力」(87%)、「英語力」(61%)などが多い一方、「意欲や志」が68%、「高校までの経験や活動歴」が58%と、人間性や経験の多様さに関わる項目も重視していることが分かった。

海外大と連携 8割超が強化

18歳人口が減り、学生を採用する企業のグローバル化も進むなか、国際展開は大学の生き残りのカギを握る。施策で目立ったのは「海外の協定校・交流校を増やす」(83%)や「海外大学との二重学位・共同学位課程の設置」(64%)など、海外大との連携だ。留学生受け入れと国内学生の派遣をともに伸ばそうとする姿勢がうかがえる。

受け入れ環境の充実に努める大学も多く、「日本での就職支援の強化」は65%、「国際学生寮・海外研究者向け住居の充実」は64%が挙げた。

学生に占める留学生の割合について5~10年後の目標も尋ねた。学部ではおよそ8割の学長が目標を持っており、20%が「3~5%未満」、19%が「5~10%未満」とした。修士・博士課程だと「10~15%未満」が16%で最も多かったが、15%以上を目標とする学長も36%いた。

日本のトップ校の順位低下が関心を集める大学ランキング。その評価で最も多かったのは「多様な評価の一つとして意識している」で、79%を占めた。ランキングを「重視している」としたのは10%。「留学生獲得や海外との共同研究拡大に役立つ」「大学の強み・弱みを分析できる」など、ランキングを前向きに捉える学長が多い。

ただ、経営上の数値目標や指標に「位置づけている」としたのは18%。低い割合だが、意外に多いと感じる向きもあるかもしれない。

国際的な大学ランキングの妥当性は近年の大学界で常に議論を呼んでいるテーマだ。自由記入でも「各大学の特色を適切に評価していない」「英語圏の大学が有利」などの意見が寄せられた。

教育改革が重点課題

大学トップが当面の重点課題と考えていることは何か。選択肢から5つまで選んでもらったところ、最も多かった回答は「教育改革」(85%)で、「研究力の向上」(71%)や「国際化の推進」(68%)が続いた。

学部教育の改革で重視する項目としては60%が「能動的学習や対話型授業の拡大」、39%が「課題解決型学習の拡大」を挙げた。「評価の改善や学習成果の可視化」(38%)、「海外留学の促進」(37%)も多い。

ほかは「教養教育」(22%)、「カリキュラムの体系化」(18%)など。低所得層の高等教育無償化が決まり、教育の質の確保が求められているが「進級・学位認定の厳格化」は7%にとどまる。社会人の学び直しニーズへの対応に関わる「既卒者や社会人の受け入れ」も4%と少ない。

能動的学習などはきめ細かな指導が必要だが、学生・教員比率(S/T比)の改善について尋ねたところ、36%が「教員数を増やしたい」と答えた。教員増・学生減のどちらも考えていない大学が59%を占め、「学生の削減と教員の増加をともに実施したい」としたのは1%(2校)だった。

調査概要 日本経済新聞社が日経リサーチの協力を得て、9月7日~10月4日に実施した。日経グループの各種アンケートで卒業生の満足度、地域貢献度などが高く評価された大学を中心に国公私立157大学の学長(理事長)に協力を依頼。98%にあたる154大学から回答を得た。内訳は国立大62、私立大73、公立大19。回答者一覧は13日付朝刊大学面に掲載。

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