能楽「高砂」を大連吟 10年目、延べ2千人参加

2017/12/12 13:02
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結婚式などでおなじみの能の演目「高砂」を毎年12月、約200人で合唱する「能楽大連吟」が京都市で10年目を迎えた。「気軽に能楽に触れてほしい」と、観世流の若手能楽師3人が2008年に始め、これまで延べ約2千人が参加。うち約100人がその後も能を習い、古典芸能の裾野を広げている。

「高砂や、この浦舟に帆を揚げて」――。11月1日、同市上京区の金剛能楽堂で、小学生からお年寄りまで男女約230人が能舞台を囲み、まっすぐ前を向いて声を合わせた。この日は12月の本番へ向けた全体稽古。「おなかに力を入れて」「はね上げるように謡って」と、指導役の能楽師にも熱が入り、汗がにじむ。参加者のほとんどが能楽経験のない素人で、9月以降少人数での練習を重ねてきた。

高砂は、松の精の老夫婦を題材に、夫婦愛と長寿を祝う演目で、古くから新年の宴席や結婚式で謡われてきた。本番では演者のシテやワキ方、はやし方も登場。物語に沿って参加者が地謡の一部を合唱する。

「高砂は知っていたけど、歌詞を読んだこともなかった」と参加者の会社員、仲井小波さん(35)は明かす。「意味が分かると面白い」と笑顔を見せた。最年少の小学1年、足立啓輔君(7)は父親と参加。「謡うのはすぐ息が切れちゃうから大変。緊張する」とはにかんだ。

大連吟を始めた一人、観世流能楽師の宮本茂樹さん(42)は「これだけ大勢で謡うのは伝統にない試み」と話す。「始めた当時は能の形を崩すんじゃないかと反発もあったと思うが、能が広く認知されないと伝統を支えきれないという葛藤が仲間内にあった」と振り返った。

今年からは金剛流の若手能楽師も賛同し、同流派でも実施。本番は観世流が26日午後7時から京都市左京区の京都観世会館で。金剛流が25日午後7時から同市上京区の金剛能楽堂で行われる。

宮本さんは「大連吟をきっかけに、初めての人にも能楽の世界を深く知ってほしい」と期待を寄せている。〔共同〕

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