2019年5月27日(月)

温暖化の隠れた悪玉「代替フロン」の排出増加
各社対策急ぐ

2017/12/12 11:13
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エアコンや店舗の食品ショーケースで使う代替フロンが、日本の温暖化に深刻な影響を与えている。環境省が12日発表した2016年度の代替フロン排出量は、前年度比10%増だった。増加は12年連続。消費者になじみの薄い代替フロンだが、温暖化への影響度は二酸化炭素(CO2)の数百倍から数千倍に及ぶ。メーカー各社はノンフロン製品の開発を急いでいる。

日本熱源システムは冷凍倉庫に使うノンフロン冷凍機(写真右)を増産する

エアコンや冷凍機で冷気を作るのに使われてきた化合物「特定フロン」はオゾン層を破壊する。それに代わって普及したのが「代替フロン」と呼ぶ塩素を含まない物質だ。だが今度は温暖化に深刻な影響を与えることが分かり、世界で対策が必要になっている。

環境省が発表した16年度温暖化ガス排出量(速報値)では、CO2は前年度より約600万トン減った。対して代替フロンは約400万トン(CO2換算)増えた。代替フロンは機器内を循環して大気に出ないが、「機器の老朽化による漏れや、機器廃棄時に適切に回収せずに大気に排出されている」(環境省)。

企業や家庭が節電したり、太陽光発電を増やしたりしてCO2を減らしても、代替フロンの増加で温暖化対策が帳消しの状況になりつつある。

企業は対策に本腰を入れ始めた。環境装置メーカーの日本熱源システム(東京・新宿)は、冷凍倉庫などに使う業務用冷凍機の新工場を大津市で今秋稼働した。代替フロンを使わないノンフロン冷凍機の生産能力を年100台と、従来の5倍に増やす。「全国の食品メーカーや食品倉庫会社から注文が相次いでいる」(原田克彦社長)という。

旭硝子三菱電機パナソニックなどは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援で、温暖化の影響が少ない家庭用エアコンを開発中。現在の代替フロンを使ったエアコンと同等の能力を維持しながら、温暖化の影響が小さい機器をつくる計画だ。

ダイキン工業は自社工場に再生設備を設けるなど、フロンを適切に回収して再生する仕組みづくりに奔走している。

モントリオール議定書により、日本など先進国は代替フロンの使用量を11~13年を基準に19年から段階的に減らし、36年に85%減らさなければいけない。

石炭火力発電所の建設など、日本はCO2対策で世界で後手に回っている。代替フロン対策でも後れをとれば、日本の地球温暖化の姿勢に疑問の声が一段と高まるのは必至だ。(榊原健)

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