米大統領「人類を再び月へ」 月面基地など新計画
【ワシントン=川合智之】トランプ米大統領は11日、人類を再び月へ送ると明記した新たな宇宙計画を発表した。ホワイトハウスで開いた署名式で「米国人宇宙飛行士を再び月へ送る重要な一歩だ」と述べ、「最終的に火星やその先の世界へ向かう基盤をつくる」と宣言した。ただ発表では具体的な予算措置などには触れておらず、実現には不透明感も残る。
月の周回軌道への宇宙基地建設を目指していた現行計画を修正するもので、月への着陸が実現すれば1972年以来となる。米国が初めて月に宇宙飛行士を送ったのは69年のアポロ11号が初めてで、72年の6回目の月面着陸を最後に有人宇宙探査は途絶えている。最後に月に着陸したハリソン・シュミット宇宙飛行士も署名式に同席し、トランプ氏は「彼を最後にはしない」と強調した。
米国の有人宇宙計画はアポロ計画以降、スペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)に重点を移した。米航空宇宙局(NASA)の現行計画では2020年代にまず月の周回軌道上に基地をつくり、30年代に火星に飛行する際の中継地にする考えだった。現行計画には日本やロシアも協力を表明していた。
ただ、今回のトランプ氏の発表では具体的な工程や予算措置には触れられていない。04年にブッシュ(子)政権が月への再着陸を目指す計画を発表したが、資金不足で打ち切られた経緯がある。月着陸に必要な巨額費用を負担できるかどうかが課題となる。