安保理、北朝鮮の人権侵害討議 脱北者「恐ろしい監獄」
「米国の手先」と北朝鮮反発
【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は11日、北朝鮮の人権侵害問題を討議する会合を開いた。米国のヘイリー国連大使は北朝鮮が「強制労働や労働者の海外派遣などで自国民を搾取し、核や弾道ミサイル開発をしている」と批判。米英仏などは日本人拉致問題に言及した。関連会合では、脱北女性が当局による拷問などについて証言し、組織的な人権侵害の実態を国際社会に訴えた。

会合は米国や日本など9カ国が開催を要請。安保理は人権問題を扱う場ではないと主張する中国など3カ国が反対したが、10カ国が賛成し、4年連続での開催が決まった。北朝鮮の国連代表部は11日、同会合について「安保理は米国の手先になった」と非難する声明を発表した。
ゼイド国連人権高等弁務官は「軍事的緊張の高まりが北朝鮮人民に対する深刻な人権侵害をさらに深めている」と述べ、北朝鮮の政治犯収容所での拷問や強制労働などについて報告した。各理事国からは日本人の拉致被害者にも言及があり、日本の別所浩郎国連大使は会合後、記者団に対して「拉致問題の認識がかなり高まった」と語った。
安保理会合に続き、米国を中心に日韓英仏など7カ国は、脱北女性を招いた関連イベントを国連本部で開いた。1998~2007年に脱北を試みて3回北朝鮮に強制送還され、4回目に成功したジ・ヒョンアさん(38)が収容所での拷問や強制堕胎について証言した。涙ながらに「北朝鮮は恐ろしい監獄だ」と語り、ヘイリー大使が肩をさする場面もあった。
人権団体の関係者によると、北朝鮮人女性の中国東北部への人身売買など女性に対する人権侵害が深刻だという。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。