2019年9月15日(日)

エルサレム首都認定、世界で対米抗議広がる
衝突相次ぎ4人死亡

2017/12/11 19:32
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【イスタンブール=佐野彰洋】トランプ米政権がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことへの抗議が欧州や東南アジアに広がっている。イスラエルのネタニヤフ首相は11日、欧州各国にエルサレムへの大使館移転を呼びかけ、反発に油を注いだ。パレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突では10日までに4人が死亡し、1200人以上が負傷した。

ネタニヤフ氏は11日にブリュッセルの欧州連合(EU)本部を訪れ「大半のEU諸国がエルサレムへ大使館を移転し、首都と認めることを期待している」と述べた。EU加盟国外相との朝食会を前に記者団に語った。一方のEUのモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は「エルサレムに関する国際的な合意を尊重し続ける」と指摘し、米国の決定を批判した。

エルサレムをイスラエルの首都と認めた米国の判断は、様々な経路で世界に波紋を投げかける。

中東では各国首脳間の舌戦が激しさを増す。トルコのエルドアン大統領がイスラエルを「子供を殺すテロ国家」と非難。ネタニヤフ氏は10日、エルドアン氏が「(少数民族)クルド人を爆撃している」と応戦した。パレスチナ人に対しても「(エルサレムは)以前から我々の首都。現実に早く向き合え」と迫った。

トルコやレバノンなどでは抗議活動が続いている。ベイルートの米大使館近くでは10日、デモ隊の一部が投石に及び、治安部隊が催涙弾や放水で制圧を図った。

中東諸国は米国との関係悪化は望んでおらず、混迷がこれ以上深まることを警戒する。だが、パレスチナ自治区ガザやヨルダン川西岸ではパレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突が続き、パレスチナ側の報道によると10日までに1200人以上が負傷した。パレスチナに肩入れする国民感情を考えると、米国への批判を強めざるを得ない事態に陥っている。

イスラム教徒の反発は世界に広がった。インドネシアの首都ジャカルタでは11日、イスラム団体などが主催した抗議デモが米大使館前で開かれ、多数の市民が参加した。一部の参加者がトランプ米大統領の写真を燃やす場面もあった。マレーシアでも首都の在マレーシア米大使館をイスラム教徒が取り囲む事態に発展した。

米調査機関のピュー・リサーチ・センターによると2010年時点の世界のイスラム教徒人口は約16億人で世界人口の23.2%を占める。なかでもアジア太平洋は合計で10億人近い。

現在のサウジアラビアで7世紀前半に預言者ムハンマドが創始したイスラム教はまず地理的に近接する北アフリカや中東に広まった。その後に各地で信者を獲得し、世界宗教となった。

シリアなどから多くの難民が逃れた欧州でも抗議が広がる。ベルリンやストックホルムなど欧州の主要都市でも8日以降に抗議のデモが発生した。エルサレムの首都認定で始まった混乱は、足元の中東にとどまらない。

10日にはエルサレムのバスターミナルでパレスチナ人がイスラエル人警備員を刃物で襲い、重傷を負わせる事件も発生した。衝突が新たな暴力を呼ぶ負の連鎖が続けば、米国・イスラエルとイスラム教徒の間の溝が一段と深まる恐れがある。

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