2019年5月26日(日)

進化するモビリティー
Innovation Roadmap 2030(2)

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2017/11/20 2:00
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日本は規制の「老大国」(日本総研主席研究員 藻谷浩介氏)

進化する交通手段に対し、日本はどうすべきか。日本総研主席研究員の藻谷浩介氏に聞いた。

――移動手段の未来像はどうなりますか。

「人口減少局面では需要より先に供給が落ちる。人間は生産活動から身を引いても10年、20年は生きるからだ。つまり人手不足はずっと続くわけで、長距離トラックなどは自動運転にしないとドライバーが足りない。高速道路の一番端っこの車線は自動運転の車両専用になるかもしれない」

「公共交通には電車やバスのように顧客が供給に合わせるタイプと、タクシーやウーバーに代表される供給が顧客に合わせるものがある。ウーバーは便利でタクシーより安い。米国では知らない人がいないくらいのサービスなのに、日本ではタクシー産業を侵害する存在としか見られない」

――何かと制約があるのは日本ならではの課題なのでしょうか。

「世界では数少ない存在になった飲食店での『喫煙OK』など、ほぼすべての国が変えたルールを変えることができない『老大国』ともいえるのが日本だ。この性質が最も顕著なのが交通手段に対する規制だ」

「技術的にはできるものばかりなのに、社会が受け入れないから普及しない。(立ち乗り電動二輪車の)セグウェイが典型だ。ぶつかっても誰も死なないのに規制で乗れないから、日本の町中で見ることはほとんどない。一方、猛スピードで暴走する自転車は野放しというのは解せない」

――どのような新サービスが考えられますか。

「都会のモビリティーは若者中心にできている。日本はバリアフリーに関して進んでいるが、高齢者向けにはさらに小さなアシスト手段を考える時期にきている。たとえば家の中で10メートル移動するのを助ける手段。夜中に一人でトイレに立てるシステムをトヨタ自動車が開発するとか、可能性はいくらでもある」

「モビリティーと福祉はこれまでまったく連動していなかった。車いす一つとっても、いまだに重いものばかりに映る。未来では福祉分野のミニモビリティーに革新が起きる可能性がある」

――モビリティーへの意識も変わっていくのでしょうか。

「旅行となると自分が移動することばかり考えがちだが、パタゴニアの海岸をその場にライブカメラや音で再現すればよいのでは。100万円かけて旅行に出かけ疲れて帰ってくることを思えば、お金を出す人は確実にいる。モビリティーの究極の姿は、自分が動かずに周りが勝手に動いて望みの環境をつくってくれることかもしれない」

(この項は新井重徳、若杉朋子、市原朋大、熊田明彦、吉田桃子、佐藤季司、加藤宏志、松井健が担当しました)

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