香港・雨傘運動の「女神」が出馬する理由

2017/12/9 1:20
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民主化を求める香港の市民が中心部の道路を占拠した雨傘運動で「学民の女神」と呼ばれた周庭(アグネス・チョウ、21)氏が、2018年3月投票の香港立法会(議会)補欠選挙への出馬を検討している。親中国派政党が推す女性候補と一騎打ちとなる公算が大きい。日本のアイドルやアニメが好きで「オタク」を自称する大学4年生は、なぜ議員を目指すようになったのか。8日夜、日本経済新聞などとの会見で胸の内を語った。

周庭(アグネス・チョウ)氏はデモに参加した仲間が8月に収監されたのをみて、出馬を検討し始めたという(8日、香港)

――雨傘運動の学生リーダーの1人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らと設立した新政党、香港衆志(デモシスト)から出馬を前向きに検討しています。どうして自分が出馬しようと思ったのですか。

「民主派の立法会議員が資格を取り消されたり、デモをした若者が収監されたりするなど、香港の民主化運動に対する中国・香港政府の政治的弾圧は厳しくなっています。香港政府を監視するという立法会の機能を守るためには、政治的な信念や勇気を持つ人が必要です」

「今年前半まで立候補は考えたこともありませんでした。でも8月にデモシストの3人の友達が収監されて、『もっと責任を背負いたい、もっと民主化運動のために働きたい』という気持ちを強く持ちました。(定数1の)補選で当選するにはデモシストの支持者以外からも幅広い支持を得る必要があります。厳しい戦いになると思いますが、3月11日の投票日まで一生懸命がんばりたいと思います」

――もし当選したらどのような活動をしますか。

「今回の補選は立法会の直接選挙枠(35議席)の半数を民主派が確保できるかという重要な選挙になります。民主派が過半数を確保できなければ、(中国政府の転覆を図る政治活動を禁じる)治安立法や(中国の国歌の権威をおとしめる行為を罰する)国歌法などいろいろな法案を(親中国派が)通せるようになります。デモなど直接的な行動だけでなく、立法会での戦いも重要です」

――雨傘運動の終結からまもなく3年になります。民主化運動に対する若者の熱意に変化はあると感じますか。

「あのころ若者たちは希望が見えるから運動を参加していました。いま若者世代は希望よりも、不安や絶望をいだくようになりました。政治的弾圧はどんどん激しくなり、住宅・教育問題も厳しくなっています。若者世代は民主化運動に冷めたというよりも、希望が見えないので参加を半分あきらめています。若者はこれからも香港に住み続けます。どうやって香港をもっと住みやすく民主的な社会にするかは重要な挑戦です。香港人の未来を決める権利は香港人が持っていると信じています」

――出馬検討にあたっては家族や友達と相談しましたか。

「初めて相談したのはデモシストの友達ではなく、家族でした。9月ごろに父と食事して、もっと責任を背負いたいという正直な気持ちを伝えました。父も母も心の準備ができていたようで、応援するわけではないけど受け入れてくれました。補選に出馬するには(中国への返還前に香港に出生した人が取得できた)英国のパスポートを放棄しなければなりません。父や母にとっても大きな決断だったでしょうが、最後にOKという答えがもらえたことは、ありがたいと思ってます」

――選挙資金はどのように手当てしますか。

「デモシストの運営資金はもともと100%、市民からの寄付金です。お金持ちのお金はもらわない方針です。市民からの支持をこれからも得たいと思っています」

――香港バプテスト大学の4年生ですが、学業への影響はありませんか。

「9~12月の秋学期は学業と両立できるようにがんばっています。18年1~5月の春学期は選挙活動が忙しくなるので、休学する予定です。喫茶店でのバイトは8月で辞めました」

――リラックスをするために何かしていますか。

「選挙チームの組織や街宣の準備で忙しく、ストレスを発散するようなことは最近はあまりしていません。乃木坂46などJポップを聞くことはありますが、テレビ番組を見る時間はなくなりました」

(聞き手は香港=粟井康夫)

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