2018年10月19日(金)

アスリート、能力ずぬけていないのなら頭を使う
対談 岩政大樹(サッカー元日本代表)×小宮山悟氏(野球解説者)

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2017/12/13 6:30
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 元千葉ロッテで野球解説者の小宮山悟氏(52)はサッカーファンとして知られ、Jリーグ理事も務める。頭脳派という点で共通するサッカー元日本代表の岩政大樹が投球術、打者との駆け引き、理にかなった体の使い方について掘り下げた。

岩政 野球界の方とじっくり話をするのは初めてです。

小宮山 僕はもともとサッカーが好きなので、サッカー界の方との接点が多いんです。横浜ベイスターズ時代に横浜F・マリノスと合同でファン感謝デーを開催したことがあって、F・マリノスの選手とサッカーをしました。当時、日本代表だった波戸康広選手のドリブルにはびっくりした。懐かしい思い出です。

サッカー界、驚くほどオープン

岩政 ずっとサッカーファンだったのですか。

小宮山 高校(芝浦工業大学柏高)のときにブラジル帰りのサッカー部員がいて、彼が「サッカーが世界で一番のスポーツなんだ」と盛んに言うんですよ。その影響をかなり受けました。ちょうどそのころサッカーのワールドカップ(W杯)スペイン大会をテレビで見て、その熱狂ぶりに「すげえな、これは。確かに野球より上だな」と思いました。

小宮山氏(左)と投球術、打者との駆け引き、理にかなった体の使い方について掘り下げた

小宮山氏(左)と投球術、打者との駆け引き、理にかなった体の使い方について掘り下げた

岩政 Jリーグの理事になった経緯を教えてください。

小宮山 横浜ベイスターズが横浜F・マリノスを応援するキャンペーンを始めるというときに、「僕はできない。生まれも育ちも柏だから、レイソルを裏切れない」と言ったんです。それが話題になって、当時、Jリーグのチェアマンだった大東和美さんの耳にも届いたらしい。Jリーグの幹部のみなさんに呼ばれて、「Jリーグは岐路に立たされているので、野球界で様々な経験を積んだあなたからアドバイスをいただきたい」という話を聞いて、断れなくなりました。

岩政 理事となって、どういうことを感じましたか。

小宮山 プロ野球界の最高意思決定機関は12球団のオーナーで構成するオーナー会議です。そこにいろいろな案件が上がっていくまでの議論が不透明だと感じていました。それに比べるとサッカー界はびっくりするくらいオープンです。会議後、チェアマンがメディアに細かいことまで説明します。サッカー界は野球界を反面教師にしていると思います。

岩政 議論が難しくなっている面もありませんか。

小宮山 全クラブが幸せになれるということはなかなかないと思います。利害が一致しないこともあります。それでも、みんながある程度、幸せになれるところで妥協している印象です。

岩政 現役時代、小宮山さんはかなり緻密に考えて、野球をしていましたよね。

小宮山 そうせざるをえなかったからです。アスリートとしての能力でいえば、自分よりはるかに上のレベルの打者と対戦しなければなりませんでした。だから、相手の弱点を見つけて、徹底的に突いていくしかありません。頭を使って駆け引きをしていけば、互角に勝負できるんじゃないかと思って、そっちに走ったわけです。プロに入ってくる選手は小さいときから特別な存在です。そういう選手ほど、世の中にポンと放り込まれたときに、どうやって生き延びるかという人としての力が欠如している気がします。挫折を知りませんから。僕は才能がそんなにないから、いろんなことを考える力がつきました。言い方は悪いけれど、ずる賢さは秀でています。

岩政 サッカーでも「ずる賢さ」という言葉を使うけれど、間違って捉えられているような気がします。ずる賢いというのは、自分が持っているものをどう生かしていくかがうまいわけで、決してきたないことをしているわけではないと思います。結局、自分にあるものを総動員して勝負するということですよね。

小宮山 ちょっと人が思いつかないことができるわけです。それを「ずる賢い」と表現する場合、嫉妬心が含まれているのではないでしょうか。

岩政 他の選手とは違う、と思われるようになったのはいつごろですか。

小宮山 早稲田大学時代でしょうね。プロ入りしたときは、高校、大学時代からずっと野球でメシを食っていくんだと思ってきた選手に、野球で負けてもしょうがないと腹をくくっていました。僕は気がついたらプロになっていたというレベルの選手です。だから、特別な選手に一泡吹かせることに、これ以上ない喜びを感じていました。

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