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漫画で学ぶ 広がる 「子供の理解進む」

教育現場に漫画を取り入れる動きが広がっている。学校図書館に最新作を置いたり、道徳の授業で教材として活用したり。学びの場にふさわしくないとの声もあり、以前は積極的に活用する学校が少なかったが、日本の漫画が海外で高く評価され、政府が「クールジャパン」として積極的に発信するようになったことなどが背景にあるようだ。

埼玉県立飯能高校の図書館には漫画が並ぶ(埼玉県飯能市)

「ONE PIECE」や「進撃の巨人」など人気漫画が数多く並ぶ埼玉県立飯能高校(飯能市)の図書館。授業が終わった午後3時半ごろから生徒が次々に訪れる。2年生の女子生徒(17)は「『NARUTO』が好きで、アルバイトまでの時間によく借りに来る」と話す。

同校の湯川康宏司書が2016年4月に着任して以来、ヒット作品を積極的に置くようになった。「漫画に興味をもてば、それほど本を読まない子もつい図書館に足を運びたくなるはず」と狙いを話す。生徒から要望があればできるだけ蔵書に加えているといい映画化された「テラフォーマーズ」など人気作の最新刊も。漫画の蔵書は約2500冊で、図書館資料の約6%を占める充実ぶりだ。

2年生の女子生徒(17)は週に3回程度来るという。これまで小説を読むことはあまりなかったが「漫画を読みに来たついでに、気になる作品を手に取るようになった」。1年生の女子生徒(16)は「歴史物の漫画は勉強にも役立つ」と話す。

神奈川県立湘南高校(藤沢市)の笠川昭治司書は、約30年前から学校図書館に漫画を置く取り組みを続けてきた。

着任当初は学習の役に立たないと思っていたが、生徒から勧められた作品を読んだのをきっかけに考えが変わったという。「面白いだけでなく、一般書籍と同じように自分の世界を広げてくれると気付いた」

最近の作品は筆者が現場を取材したり、専門家が監修についたりしていることが多く、専門的な知識が盛り込まれているという。「エンターテインメント性がありながら、生徒にとって未知の世界へのきっかけとなる」と評価する。

笠川さんが代表例として挙げるのは、宇宙飛行士の世界を書いた「宇宙兄弟」。「大人が読んでも勉強になることが多い。子供たちがこうした漫画に触れれば、進路を考えるきっかけにもなる」と期待する。

日本財団(東京・港)は15年、勉強への意欲や関心を高める漫画を紹介するプロジェクト「これも学習マンガだ!」を始めた。歴史や科学分野が主だった従来の学習漫画とは異なり、面白さを追求しながら、社会問題や職業を学べる作品を選出。漫画家や編集者などその道のプロが選書委員を務めた。

「文学」「芸術」「スポーツ」など11ジャンルに分類して推薦。授業などで活用する際の参考にできるようにした。11月22日に新たに50作品を選び、これまでにリストアップしたのは200作品に上る。

茨城県つくば市立吾妻学園小学校では3月、5年生の道徳の授業で藤子・F・不二雄作の「モジャ公」を取り上げた。主人公が様々な星を訪れるSF作品。宿題から逃げるために月に行くという1話を「責任」を考えるための教材として使った。

授業を担当した大山喜裕教諭(37)は「視覚的情報もあると子供が興味を持ち理解が進みやすい」と話す。歴史の授業で漫画を使ったこともあるといい「子供が熱心に取り組む」と手応えを感じている。

漫画評論家の竹内オサム氏は「活字から場面を想像するのと同じように、静止画から動きを連想することで想像力が育つ」と話す。「積極的な学校が増えているのは、政府が『クールジャパン』として漫画をアピールし、日本文化として確固たる地位を築いた影響もあるだろう」とみている。

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