2017年12月15日(金)

エルサレム首都認定、娘婿クシュナー氏が主導
アラブ諸国との関係維持に「勝算」

トランプ政権
エルサレム
中東・アフリカ
北米
2017/12/7 22:59
保存
共有
印刷
その他

 【ワシントン=永沢毅】トランプ氏は米政権内の意見が割れるなかで公約の実現を強行した。大統領の背中を押したのは娘婿でユダヤ系米国人のクシュナー大統領上級顧問だった。

 トランプ氏は昨年の大統領選で米大使館の移転を公約に掲げ、早期の実現にこだわった。政治専門紙ポリティコなどによると、1月の政権発足で中東和平交渉の担当となったクシュナー氏は、今夏の時点で「交渉に障害になる」として首都認定に反対していた。トランプ氏に慎重な対応を助言したという。

 その後、権力掌握にひた走るサウジアラビアのムハンマド皇太子ら中東のキーマンと関係を構築した。米国がイスラエルの首都をエルサレムと認定したらアラブ・イスラム諸国から一時的に強い反発を招くのは避けられない。だが、度重なる訪問で築いた人間関係には致命傷にならない――。中東和平の実現に固執するクシュナー氏はこう踏んで首都認定への賛成に転じた。同氏の周辺は「中東和平の実現はなお可能だ」とみている。

 政権の要である大統領首席補佐官は7月、プリーバス氏が議会調整の不調を理由に事実上、更迭された。後任は軍人出身のケリー氏が就任。大統領の信頼を得て、ホワイトハウスの運営を統括するようになった。クシュナー氏は政務活動などの報告義務をケリー氏に課され、自由に動きにくくなった。クシュナー氏が移転に賛成したのは、ホワイトハウス内で影響力を回復させる好機とみたとの解説もある。

 政権内に溝は残った。共和党保守派の主張に理解を示すペンス副大統領やヘイリー国連大使が公約の実現にこだわるトランプ氏を支持した。国際協調や中東情勢の安定といった現実的な外交を重んじるティラーソン国務長官、マティス国防長官は反対の立場を示した。 トランプ氏はイスラエルとパレスチナの中東和平交渉に関与する歴代米政権の方針に変化ないと説明したが、米中東政策はひずみが一段と拡大した。中東専門家の間では2014年から中断している和平交渉の再開は困難になったとの見方が大勢。首都認定の選挙公約と、和平実現の二兎(にと)を追うトランプ氏の発言は空虚に響く。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報