2017年12月17日(日)

エルサレム首都認定発表 米の孤立深まる
紛争仲介役、信認に傷

トランプ政権
エルサレム
中東・アフリカ
北米
2017/12/7 22:56
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 【イスタンブール=佐野彰洋】トランプ米大統領は6日、イスラエルの首都をエルサレムと公式に認めると発表した。イスラム圏から欧州まで国際社会の反対を押し切った一方的な決定は、親米のアラブ諸国との関係に亀裂を入れ、自らの孤立を深めた。民衆蜂起などで中東全域を不安定にさせるばかりか、国際紛争の仲介役としての米国の信認も大きく傷ついた。

イスラエルのネタニヤフ首相やトランプ米大統領のポスターを燃やして抗議するパレスチナ人(7日、ガザ)=AP

 「不当で無責任だ」。7日、サウジ王室は声明を発表し、トランプ氏の決定を非難した。親米・反イランでサウジと足並みをそろえるアラブ首長国連邦(UAE)の外務省も「地域の安定への悪影響を深く憂慮する」との声明を出した。

 サウジのサルマン国王やヨルダンのアブドラ国王は5日、大使館移転を見送るよう求めていた。サウジやエジプトなどの親米アラブ諸国では民衆の怒りが自国の政権に向かう恐れもあり、米国への失望が広がる。

 批判は欧州の指導者に広がった。英国のメイ首相は「地域の和平展望の助けにならない」との声明を発表した。フランスのマクロン大統領は米国の「一方的」な決定を支持しないと明言した。

 国連安全保障理事会は8日、エルサレムの首都認定問題を巡り、緊急会合を開く。安保理は昨年12月、1967年に定めた国境線はエルサレム問題を含めて当事者が交渉を通じて合意したものを除いて変更を認めないことを明確にすると決議。首都認定はこの決議に違反する可能性がある。

 反米諸国は勢いづく。イラン外務省は「挑発的で愚かな米国の決定は新たな民衆蜂起を扇動するだろう」との声明を発表。シリア大統領府は「パレスチナの大義への決意は生き続ける」と連帯を表明した。ロシア外務省は7日、中東情勢を「さらに深刻にする恐れがある」と米国を批判した。

 7日、ヨルダン川西岸などではパレスチナ側の抗議活動が拡大した。現地からの報道によると、デモ隊の投石に対し、イスラエル軍は催涙ガス弾などで応戦した。

 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは7日、新たな民衆蜂起を呼び掛けた。8日の金曜日の集団礼拝後に抗議活動がさらに大規模化するとみられている。

 当事者間の合意を不要とする米国の「新アプローチ」(トランプ氏)は友好国の不信を招き、中東地域にくすぶる対立をたきつけた。米国が仲介役を十分に果たせなくなりかねない。

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