2017年12月11日(月)

シャープ復活、仕上げは「ポスト戴」 共同CEOで育成

エレキ
2017/12/7 23:16
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 シャープの株式が7日、東証2部から1部に市場変更された。債務超過で2部に転落後、1年4カ月でのスピード復帰だが、喜んでばかりはいられない。「1部復帰後の退任」を公言していた戴正呉社長の後任選びが控えているためだ。業績のV字回復の立役者、戴氏の後の体制をどうデザインするか。復活劇の総仕上げともいえる難しい作業が始まる。

記者会見で「SHARP 8K」と記された帽子を指さすシャープの戴社長(7日、東証)

記者会見で「SHARP 8K」と記された帽子を指さすシャープの戴社長(7日、東証)

 「次期社長を育成するため共同CEO(最高経営責任者)を社内外から選ぶ。すぐ検討したい」。7日に東京都内で開いた記者会見で、戴氏は社長候補を抜てきして権限委譲を進めながら、後継者としての資質を試す考えを明らかにした。「1部復帰で社長を退任したいとの気持ちは変わらない」とも話したが、その意向を取締役会に諮ったところ「成長途上の交代は異例」と認められなかったという。

 シャープが液晶の不振で債務超過に陥り、東証2部に指定替えとなったのが2016年8月。その直後に親会社となった台湾の鴻海精密工業から、戴氏は乗り込んできた。郭台銘(テリー・ゴウ)董事長に次ぐ鴻海ナンバー2の登場で、社内には警戒感が広がった。それが今では「戴さんにやめられては困る」(幹部)との声が出るほどの依存心に変わっている。

 戴氏がまず取り組んだのが徹底的なコスト削減だ。社長就任前、戴氏はシャープのコスト管理を「金持ちの子供のようだ」と痛烈に批判。億単位だった社長決裁の額を300万円以上に引き下げた。「トイレの補修にさえ社長決裁が必要なのか」。社内からはこんな不満も漏れた。

 17年2月には前体制の14年にテレビ事業を売却した欧州の中堅家電メーカーを親会社ごと買収する荒業で欧州市場に再参入。「絶対に赤字は許さない」との方針を徹底し、条件の悪い取引にも次々にメスを入れた。16年3月期に2500億円超の赤字だった最終損益は、16年10月~17年3月期に200億円超の黒字に転換し、株価も1年で実質4倍になった。

 あっという間の復活劇を振り返り、戴氏は「東証1部復帰を必ず果たす強い決心で片道切符を手に日本に来た。目標をようやく果たせた」と感慨深げだった。会場には自身の心境を重ね何度も聴いたという名曲「ワンウエー・チケット」が流れ、出席者全員が「8K」のロゴ入りキャップをかぶって登場。すべて戴氏による演出だ。会場に漂う一体感も強烈なリーダーシップがあってこそだろう。

 今後については「今までは全部、私。これからは共同CEOでやっていきたい」と強調。関係者によると共同CEOの候補は1人とは限らず複数の可能性もあるという。

 ただ鴻海と協力して進める「8K」や「IoT」といった成長分野の開拓が本格化するのはこれから。強いリーダーの必要性はむしろ高まっていく。鴻海とは部材調達や物流での連携も進めるが、シャープに不利にならないよう目を光らせてきたのも戴氏だ。こうした役割をどう引き継ぐのか。社内では「昔のシャープに戻ってしまうのでは」との声も漏れる。

 東証1部復帰初日のシャープ株は朝方から売りが先行し前日比2%安で取引を終えた。日経平均株価が320円上げるなかでの逆行安だった。カリスマリーダーなき後の体制づくりの難しさを投資家も感じているのかもしれない。(中村元)

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