2017年12月11日(月)

スマホ授業のアオイゼミ、Z会傘下に 教材・講師活用

スタートアップ
ネット・IT
2017/12/7 17:52
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 オンライン教育のアオイゼミを運営する葵(東京・新宿、石井貴基社長)は7日、通信教育大手のZ会グループの傘下に入ったと発表した。Z会が子会社を通じて葵の全株式を取得した。買収額は非公表。無料でのライブ授業配信で中高生の支持を得たアオイゼミ。石井氏は株式上場の目標を撤回し、Z会から教材や講師の提供を受けて成長を目指す道を選んだ。

アオイゼミの石井貴基社長

 アオイゼミは生命保険の営業マンだった石井氏が一念発起して2012年に創業した。スマートフォン(スマホ)へのライブ授業は原則無料。「所得による教育の格差をなくしたい」という石井氏の思いが、型破りの教育ビジネスにつながった。

 それから5年。登録者数は30万人を超え、撮りためた4000本もの授業動画を有料で視聴するサービスも定着した。KDDI電通、マイナビなどから次々と資金を調達して課題だった講師陣の強化などに充ててきた。そこに、今夏ごろに舞い込んだのがZ会からの出資話だった。石井氏は「教育業界のパートナーを探していた」と言う。

 Z会は難関校受験生の間で長年にわたる実績を持つ。教材の融通など幅広い協業も期待できる。ただ、Z会の藤井孝昭社長は当初想定した出資ではなく、完全買収を申し出てきた。Z会にとっても急成長するオンラインビジネスの強化につながると考えた。

 18年の上場を目指していた石井氏は悩んだ。ただ「株式公開より(Z会傘下の方が)一人でも多くの合格者を生み出せるんじゃないかと考えました」と話す。学習塾の栄光ゼミナールもグループに抱えるZ会なら、難関校向けだけでなく、教材や講師の面で幅広い支援を受けられると考えた。石井氏は「オンライン教育のトップを目指すのが私の使命」と言う。

 そんな石井氏の元にうれしい知らせが届いたのは買収発表直前の6日夜だった。教え子が都内の志望校に合格したという。メールは教え子の母親からだった。自分は大学に行けなかったと言うこの母親から、以前にもらった手紙にこんな一文があった。「教育は未来への希望であって欲しいのです」

 その手紙に励まされたという石井氏は、メールにこう返した。「よろしければ息子さん、うちで働きませんか」。教え子の成長を見届けるのは「Education-tech(エドテック)」の醍醐味だ。大手の傘下入りをテコにまたそんな出会いを求めている。

(企業報道部 杉本貴司)

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