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カズオ・イシグロさん会見 「世界の分断埋めたい」

【ストックホルム=小滝麻理子】2017年のノーベル文学賞を受賞する英国人作家、カズオ・イシグロさん(63)が6日、ストックホルム市内で10日の授賞式に先立ち記者会見した。「ノーベル賞は人々の融合を促す力がある。世界の分断を埋めることに貢献できたらうれしい」と語り、母親が長崎市で被爆した過去にも言及。「核兵器の脅威はなくなっていない」と述べ、核廃絶の取り組みへの支持を表明した。

イシグロさんは長崎市で生まれ、5歳まで日本で育った。1982年に発表した長編小説第1作「遠い山なみの光」は戦後の長崎が舞台。会見では「私の母も原爆の犠牲者だった。ある意味、私は原爆の影の中で育ってきた」と振り返った。

その後、英国に移住した後も冷戦下の欧州で核兵器の脅威が続いた。イシグロさんは「冷戦は終わったが現在、世界は再び危険になりつつある」と発言。今年のノーベル平和賞に選ばれた非政府組織(NGO)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)について「新たな世代がICANのようなうねりを作っていることは大きな喜びだ」と語った。

作品「日の名残り」や「忘れられた巨人」などを通じて、個人とより大きな世界や国家との関連を模索してきたイシグロさん。「自分の小さな世界を超えて、そのまわりの大きな世界とをいかに結びつけるかに常に関心があった」と話した。

英国の欧州連合(EU)離脱や難民危機など、過去数年間で西洋社会の多くが深刻な分断やアイデンティティーの危機に陥っていると指摘。「沈黙するのではなく、私たち誰もが個人を超えて世界に関わることがとても重要だ。民主主義という特権を持っている西洋はなおさらだ」と語った。

日本の読者に対しては「(受賞の)祝福をしてくれて感動した」と顔をほころばせた。「村上春樹さんの受賞への期待が強かったとも聞いていたので」とも発言。「私の一部は日本人」と語り、日英2つのアイデンティティーを持つ者として「誇りに思う」とした。

子供の頃から愛読していた漫画の表現方法に興味があることにも触れ、米国の出版社と漫画の創作を話し合っていることを明かした。「小説家はともすれば閉じこもってしまいがち。様々な人と協業して、想像力を膨らませることを大切にしている」と語った。

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