2017年12月12日(火)

受信料契約は合憲 成立時期にNHKの思惑とずれ

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2017/12/6 16:23
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 最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、テレビを置く人にNHKと受信契約を義務付けた放送法の規定を「合憲」と判断した。一方、NHKがテレビを確認し「受信契約を申し込んだ時点で自動的に契約が成立する」とのNHKの主張を退けた。NHKは受信料の未払い者に対し、裁判で勝訴が確定して初めて受信料の支払い請求ができることになる。

NHK受信料訴訟の最高裁判決後、記者会見する高池弁護士(右)ら被告側の代理人(6日午後、東京都千代田区)

 NHKが東京都内の60代男性を訴えていた裁判。受信料制度が憲法が定める「契約の自由」を侵害するかなどが争われた。合憲かどうかのほかにNHKが重視していたのが、受信の契約締結時期だ。NHKはテレビを確認し、契約の申込書を送った段階で契約成立だと主張した。放送法で義務が発生しているというのが根拠だ。

 NHKが契約成立時期を申込書の送付の時期としたかったのは、この点が認められれば、申込書を送ってこない未払い者に支払い督促をすることができたからだ。いままでのように未払い者1人1人に対して訴訟をする必要がなく、手続きや費用を大幅に削減できる。

 ただ、最高裁は、契約の締結はNHKの勝訴が確定した時点と判断した。未払いの人に支払いを促す場合、訴訟が必要になり、支払率を上げるために訴訟が増える可能性がある。

 NHKの2017年3月期の受信料収入は6769億円で受信料の支払率は79%だった。NHKは近年、訴訟なども活用し、受信料の支払率向上に努めている。18年3月期には支払率80%を目指している。NHKは支払い督促のような簡易な手段での支払率向上ができるお墨付きを最高裁からもらいたかったが、かなわなかった。

 現在、NHKの受信料収入は余剰となっている。NHKはサービスの拡充のため、余剰分を4K・8K放送やネットで番組を同時配信する常時同時配信などに使う予定だ。余剰金の視聴者への還元については、受信料の引き下げなども議論されていた。裁判を増やさず支払率を上げるためには、受信料の使用方法や視聴者への還元方法などをこれまで以上に丁寧に説明し、理解を求めることが重要になる。

(企業報道部 小河愛実)

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