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「相撲は国技」と実感 暴行事件の大騒動
編集委員 北川和徳

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2017/12/6 6:32
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スポーツ取材を20年以上やってきたが大相撲を担当したことはない。相撲はまったくの素人だ。子供のころは先代貴ノ花のファンでテレビ中継に夢中になったが、今はそんなに好きというわけでもない。そんな自分でも元横綱日馬富士の暴行事件については、何か言いたくなってしまう。みんなが同じ気持ちのようだ。テレビのワイドショーは連日この問題ばかり取り上げるし、ネットニュースのコメント欄もあっという間に膨れあがる。

世間一般の常識と大きなズレ

なぜ、これほど盛り上がるのか。相撲界をよく知らない立場の人間として言わせてもらえば、日本相撲協会やそれに近い人々から発信される内容が、あまりに世間一般の常識や感覚とずれているからだと思う。突っ込みどころが満載。「違うだろー」という感じで、協会やニュースの扱いに意見したくなる。

11月30日の定例理事会後、記者会見する日本相撲協会の八角理事長(中)ら

11月30日の定例理事会後、記者会見する日本相撲協会の八角理事長(中)ら

問題の発覚当時から、どうにも納得できないのが被害者である貴ノ岩の扱われ方だった。さすがに最近は減ってきたが、当初は「貴ノ岩の態度が悪いから殴られた」という論調がかなりあった。一方からそうした情報ばかりが流されたということも理由だろう。

11月30日の協会の危機管理委員会の中間報告では「貴ノ岩が最初に謝っていればその先にはいかなかった」との見方が披露された。勘繰りすぎかもしれないが「殴られた方にも非がある」という流れにしたい意図を感じて嫌な気分になった。

相撲界には「かわいがり」という言葉があるそうだ。力士同士がぶつかり合うけいこ場での体罰を伴う厳しい指導のことだと思っていたのだが、日常生活における理不尽な暴力による躾(しつけ)まで含まれるとは初めて知った。

これが普通の会社だったらどうだろう。自分でも後輩社員を連れて飲みにいったら説教になってしまった残念な思い出はある。だが、話している最中に相手がスマートフォンのメールをチェックしたとしても、せいぜい「ちゃんと聞けよ」と怒鳴ってテーブルをたたく程度が普通の社会人の対応だろう。これでも今はパワハラといわれかねない。

そこで手を出したら間違いなくパワハラ認定。酒席で上司や先輩が部下や後輩の頭を何発も殴り、ビール瓶だろうがカラオケのリモコンだろうが凶器で裂傷を負わせたら、もう犯罪行為だ。通報されてその場で逮捕されたっておかしくない。どんな理由があったとしても、現代の日本の社会では無抵抗で殴られ続けた側が悪者になる理屈はありえない。

翌日に貴ノ岩が日馬富士に謝罪したという事実に意味はない。普通の会社の人間関係で考えても、問題を大きくしたくない弱い立場だったら、当然そんな態度になる。それで自分の暴力に問題がないと考えていたとしたら、はっきりいって卑怯(ひきょう)だと思う。

部屋が違う力士同士に身内意識?

今回の事件では、モンゴル出身力士のつながりにも注目が集まっている。外国人出身力士は現在は各部屋1人までしか認められていない。全員が異なる部屋に所属する。10代で日本に来て言葉も通じない異国で1人は心細いだろうし、同胞の力士たちでつながりたいのは理解できる。だが、日馬富士は引退会見で貴ノ岩を「弟弟子」と言った。部屋の違う力士同士がそんな身内意識で付き合っているとしたら、やっぱり違和感が残る。

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