チームニッポン大変革

フォローする

「相撲は国技」と実感 暴行事件の大騒動
編集委員 北川和徳

(2/2ページ)
2017/12/6 6:32
保存
共有
印刷
その他

弟弟子とは本来は同部屋の後輩力士のこと。大相撲は本場所で同じ部屋同士の対戦はない。濃密な人間関係から、どうしても上下関係や仲間意識、師匠の意図などが影響して八百長や人情相撲につながりかねないからと想像する。

モンゴル出身力士同士の関係には、事件の起きた酒席の雰囲気を聞く限り、ライバルというより同部屋と似たような仲間意識がある。先輩が後輩を指導したり叱責したりするのは当然のことで、高価なプレゼントを贈って激励したりするという報道もあった。だから日馬富士からも弟弟子という言葉が出たのだろう。

相撲は1対1の格闘技。しかも年間6場所、計90日間もある。そんな関係で八百長とはいわないまでも、毎回毎回厳しい真剣勝負を続けられるのか。貴乃花親方でなくても、今回の事件でそんな疑問を持った一般のファンは少なくないと思う。残念ながら、協会にはそれにまともに応えようとする姿勢はみられない。

暴行事件への関心はいつしか貴乃花親方と横綱白鵬の確執にまで向いている=共同

暴行事件への関心はいつしか貴乃花親方と横綱白鵬の確執にまで向いている=共同

それにしても、相撲に対する日本人の意識は特別だ。同様の事件がプロ野球やJリーグで起きたらと想像してみる。負傷の程度や選手の格によって扱いに違いはあっても、球団の処分と刑事処分を待って「不良外国人選手による愚行」ということで決着するだろう。世間の興味はすぐ次に移る。ところが、大相撲だとそうはいかない。暴行事件への関心はいつしか貴乃花親方と横綱白鵬の確執にまで向いている。

われわれは外国人力士に日本の相撲文化への従属を求めているようだ。野球やサッカーでも国によって暗黙のルールやしきたりの違いはあるが、日本の相撲の場合は個人の価値観や生き方にまで及んでいく。それが問題がここまで広がる理由だろう。

相撲はスポーツというよりも…

過去には高見山から始まり、多くの外国人力士がそれに従ってきた。だが、白鵬自身がどこまで意識しているのかはわからないが、圧倒的な勢力となったモンゴル人力士のリーダーとして、その圧力に正面からあらがっているようにみえる。

個人的には排外主義は大嫌いだし、アスリートは国境を越えて自由に活動してほしいと思っている。だが、そんな自分が、白鵬よりも貴乃花親方の肩を持ちたくなる。この矛盾はなぜなのか。

結局、相撲はスポーツというよりも、日本人が大切にしたい文化なのだろう。大相撲には外国人客もたくさん訪れるが、彼らはスポーツの勝負よりも異国の文化芸能を楽しんでいる。スポーツならば世界中の人々に愛されるのはうれしいが、国際化を受け入れたことで文化が変質していくのは耐えがたい。そう思考すると矛盾も納得できる。

「相撲は国技」と聞くたびに、競技人口やファンの数、高校野球の盛り上がりから、国技はむしろ野球だろうと思っていた。横綱の暴行事件から始まった前代未聞の大騒ぎ。その考えは改めざるを得ないようだ。

「スポーツ」のツイッターアカウントを開設しました。

チームニッポン大変革をMyニュースでまとめ読み
フォローする

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

五輪関連コラム

電子版トップスポーツトップ

チームニッポン大変革 一覧

フォローする
設楽悠は2時間6分11秒で快走した

 低迷していた日本の男子マラソン界に2017~18年シーズン、明るい兆しが見えてきた。2月下旬の東京マラソンで設楽悠太(26、ホンダ)が2時間6分11秒と快走し、16年ぶりに日本記録を更新。井上大仁( …続き (2018/3/21)

小平奈緒選手の応援で長野県茅野市役所の会場に集まった人たち。パブリックビューイングは自治体が主体の場合のみ認められた=共同共同

 20年前の長野冬季五輪で最大のヒーローといえば、ノルディックスキーのジャンプで金2個を含む計3個のメダルを獲得した船木和喜(フィット)だった。当時22歳の船木はデサントの社員。高校卒業後の彼を同社が …続き (2018/3/7)

昨年12月のW杯1000メートルを世界新で制した小平奈緒(右)と2位の高木美帆。五輪でもこんなシーンがあるか=共同共同

 平昌冬季五輪がまもなく開幕する。北朝鮮の参加をめぐる影響やロシア勢のドーピング問題による混乱など、かつてないほどの不安要素を抱えているが、日本選手の活躍に関していえば見どころ満載で楽しめる大会となり …続き (2018/2/7)

ハイライト・スポーツ

[PR]