高欄を自走するロボットカメラ、橋の側面を自動点検

2017/12/5 6:00
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日経コンストラクション

三井住友建設は、橋梁を自動で点検する自走式のロボットカメラを開発した。コンクリート製の壁高欄に設置して、橋の側面や底面を点検できる。

神奈川県内の橋の建設現場で実証実験している様子。高欄に設置しているのが自走式のロボットカメラ(写真:三井住友建設)

神奈川県内の橋の建設現場で実証実験している様子。高欄に設置しているのが自走式のロボットカメラ(写真:三井住友建設)

開発した自走式装置は、自走台車と伸縮するポールが付いたロボットカメラ、両者をつなぐ役割をする架台の3つの部材で構成される。台車部分を新たに開発し、架台を改造した。同社と日立産業制御ソリューションズ(茨城県日立市)が共同で開発し、2014年から販売しているロボットカメラを使用する。

装置の総重量は約50kgと軽量なので、人力による搬入が可能だ。2人で10分程度で組み立てられる。

自走式のロボットカメラの構成部材と組み立てのイメージ(資料:三井住友建設)

自走式のロボットカメラの構成部材と組み立てのイメージ(資料:三井住友建設)

従来のロボットカメラを使った点検では、その場で操作端末を見ながら損傷を探す方法が一般的だった。さらに、次の点検箇所まで人力でカメラを移動させる必要があり、設置、撮影、撤去の作業を繰り返さなければならなかった。

これに対して自走式装置を用いた場合、撮影と次の点検箇所への移動という一連の作業を自動で行うため、現場ではカメラの設置と撤去を一度実施するだけでよく、省力化につながる。

■橋梁点検の完全自動化を目指す

ロボットカメラには、指定した範囲を連続で自動撮影する機能がある。取得したいひび割れ幅に応じた画角と、点検範囲の始点と終点を設定すると、カメラが首を振るように角度を変えながら撮影する。

自走イメージとロボットカメラの動き(資料:三井住友建設)

自走イメージとロボットカメラの動き(資料:三井住友建設)

例えば、0.1mmのひび割れ幅を検知したいのであれば、400mm×250mmの画角になる。対象物との距離に応じて倍率を変えることで画角を設定することが可能だ。タブレット端末には撮影画像がリアルタイムに表示されるが、自走中に監視する必要はない。

撮影が終わると、タブレット端末に組み込んだ制御プログラムが検知し、自走台車に次の点検範囲に移動する指令を発信する。毎分1.5mの速度で次の点検箇所まで横移動する。

これまでのロボットカメラの点検では、専門的な知識を持つ技術者が必要だった。しかし自走式装置の場合は、操作に特別な技術は必要ないので、一般作業員で対応が可能だ。点検作業が終わった後、室内で取得した画像を見ながら損傷を確認できる。

三井住友建設が目指しているのは、橋梁点検の完全無人化だ。自走式装置はそのプロトタイプで、無人で撮影した膨大な写真から損傷を抽出したり、点検調書を自動作成したりするなど、運用面を検証するために開発した。

これまでに、建設中の橋梁で実証試験を実施したほか、「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)において、実橋での実証試験などに参加した。さらに、同社が施工中の橋梁が完成した際には、そこでも試験を実施する予定だ。

兵庫県の実橋で、開発した自走式装置を実証実験している様子(写真:三井住友建設)

兵庫県の実橋で、開発した自走式装置を実証実験している様子(写真:三井住友建設)

自走式装置単体での販売は考えていない。今後は、レール上を動くタイプなど、個々の橋梁ごとに適した装置を検討し、橋固有の付帯設備として実用化を図る方針だ。

(ライター 鍵尾恭子)

[日経コンストラクションWeb版 2017年12月4日掲載]

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