2019年7月21日(日)

群抜く当たりの強さ ハンドボール・永田しおり(上)

2017/12/10 6:30
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ハンドボール女子日本代表「おりひめジャパン」は今、ドイツで世界選手権を戦っている。2年に1度開催されるこの大会は、五輪の倍となる24チームが出場。ハンドボールの本場欧州から強豪国が集い、「五輪よりも格上の大会」ともいわれる。2年後の2019年大会のホスト国(熊本)であり、20年東京五輪も控える日本には貴重なチャレンジの舞台だ。

守備の要は4大会連続出場の永田しおり。副将も務める30歳は171センチ、68キロの屈強なフィジカルを武器にする。コートプレーヤー最年長として中央で守備ラインを統率する。

豊富な運動量を見込まれ、11年以降は一度も代表から外れていない

豊富な運動量を見込まれ、11年以降は一度も代表から外れていない

中学まではバレーボールやバスケットボールをしていた。丈夫な体を見込まれ、福岡女子商業高からハンドボールで誘われた。「競技人口もあまり多くないし、五輪に出やすいかな」と考え、この道を選んだ。

最初はろくにルールもわからなかったが、シュートを決めることは楽しかった。しかし、卒業後に熊本県山鹿市を本拠とする実業団のオムロンに加入してからはハンドボール観が百八十度変わったという。「自分が点を取ることよりも、守ることに喜びを感じるようになりました」

オムロンは日本リーグの名門で、堅い守りを武器に数多くのタイトルを獲得してきた。人呼んで「ディフェンスのオムロン」。大学卒のスター選手だけでなく、体の強い高卒の選手をじっくりと鍛え上げ、戦力にするチームでもあった。

永田はオムロンの育成方針を象徴する存在といっていいだろう。5年目でレギュラー、6年目で日本代表に選出された。オムロンを率いる黄慶泳が当時の代表監督だった巡り合わせもあったが、初めて選出された11年以降、永田は一度も代表から外れていない。永田の当たりの強さ、豊富な運動量は際立っていた。

仕掛ける守備で世界と対峙

もっとも、ひとたび国際舞台に出れば身長10センチ、体重で10キロ以上大きな相手とミスマッチを強いられるのは普通。ディフェンスの心構えを永田はこう語る。「待っていて守れるほど器用じゃない」。相手の動き出しに圧力をかける、自ら仕掛ける守備で世界と対峙する。一度で仕留められなくても体を当てて勢いを削ぎ、次の守備につなげる。

世界選手権には、守備面で一つの目標を掲げて臨んでいる。「チーム全体でフリースロー(FT)を1試合15~20回取る」。ハンドボールでは正当な身体接触で相手の攻撃を止めると、FTで仕切り直しになる。60分間の試合の中でFTが多くなるほど、相手の攻撃のリズムを分断できる。デンマーク出身の日本女子代表監督、ウルリック・キルケリーは「ゲームストップ」という表現を用いてFTの回数を重視している。

「FTひとつで、勢いに乗れることもある」と永田。ハンドボールではどんなに点が取れても、守れない選手は評価されない。チームのために体を張れる永田は、このスポーツにふさわしい。=敬称略

(スポーツライター 久保弘毅)

〔日本経済新聞夕刊12月4日掲載〕

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