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米、海外マネー還流促す 配当課税廃止で上下院一致

【ワシントン=河浪武史】米上院が2日、税制改革法案を可決し、上下両院は連邦法人税率の引き下げ時期などを巡って最終協議に入る。協議がすんなりまとまるかは予断を許さないが、米企業の重荷だった海外子会社からの配当課税は両院とも廃止で一致。企業が海外にため込んだ2.5兆ドル(約280兆円)もの資金が米国に還流するきっかけとなる。実現すれば、米企業のM&A(合併・買収)や設備投資が活発になりそうだ。

共和党上院トップのマコネル院内総務は2日未明、法案可決後に記者会見し「我々は米国の競争力を高める機会を得た。雇用の海外流出を阻止し、中間層に多大な恩恵が及ぶ」と強調した。トランプ米大統領もツイッターに「巨額減税に一歩近づいた。クリスマス前の署名を楽しみにしている!」と声明を出した。

上下両院は4日以降に両院協議会を開き、税制法案の一本化作業に入る。焦点の連邦法人税率については両院とも35%から20%へと一気に下げ、日本やドイツ、フランスなどに比べて低水準にすることで決着した。

ただ実施時期は上院が2019年、下院は18年と1年ズレがある。上院は減税規模を10年で1.5兆ドルに制限すると決議済みで、財政の大幅な悪化を避ける必要がある。法人税率を15%下げると年1500億ドルの税収減となるため、時期を1年遅らせる効果は大きい。

上院は与党・共和党が過半数ぎりぎりの52議席しか持たない。このため法案の一本化は上院案が軸になるが、下院の保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」は、早くも減税の後ろ倒しに反対姿勢を表明。同議連は繰り返し下院審議の波乱要因となってきただけに、調整が難航する可能性もある。

両院は米企業の海外所得への課税を原則として廃止することでも一致した。米税制はやや特殊で、企業が海外で稼いだ利益にも税を課す「全世界所得課税方式」だ。米企業は海外子会社から配当を受ける際に35%の高税率が課せられる(海外納税分は除外)ため、海外に2.5兆ドルもの資金をため込んだままだった。

税制法案が成立すればこの配当への課税が原則なくなる。米企業は海外留保資金を本国に戻して設備投資や企業買収に充てやすくなり、株主への配当増などで株価などの押し上げ効果も期待できる。実際、05年に時限立法で還流資金の税率を下げた際には、海外からの資金還流が前年比3.7倍と大きく増えた。

一方で個人所得税の見直しを巡っては、両院に細かな違いが残る。現行制度では7段階の税率区分(10~39.6%)を、下院案では4段階(12~39.6%)に簡素化する。上院は7区分を残すものの、最高税率は38.5%に下げるとした。子育て世帯の税控除などの扱いでも違いがあり、法案一本化は簡単ではない。

法人税率の大幅引き下げはレーガン政権下の1986年以来で、トランプ氏の最大の選挙公約だ。米政権はロシア疑惑を巡って再び大きく揺さぶられているが、年内に法案が成立すれば、トランプ氏にとって初めての大型公約の実現となる。

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