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トヨタ、突破口は発電所 米加州に水素使う巨大施設

トヨタ自動車は11月30日、米カリフォルニア州で水素を使う世界最大規模の燃料電池発電所を建設すると発表した。燃料電池トレーラーへの水素供給の拠点としても活用する。世界の自動車大手が電気自動車(EV)へのシフトを進めるなか、トヨタは燃料電池車もあきらめず全方位の次世代車開発を続ける方針。発電所を水素社会実現への突破口にできるか。

トヨタはロサンゼルス・オートショーで燃料電池トレーラーも展示した(ロサンゼルス市)

12月1日の一般公開を控えたロサンゼルス・オートショーで、トヨタがあえて発表したのは燃料電池を使った発電所への投資だった。会場には総重量36トンの巨大な燃料電池トレーラーも展示された。2週間前に米テスラが発表したのと競合するモデルだ。「トヨタは約束できることしか公表しない。準備が整えば一気にやる」。チーフエンジニアのアンドリュー・ランド氏は目標時期に間に合わないのが常態化しているテスラを皮肉った。

トヨタは排ガス規制を厳しくするカリフォルニア州ロングビーチ港で商用の燃料電池車を増やす計画だ。発電所も同港に建設する。畜産業が盛んなカリフォルニアでは家畜のふん尿が簡単に手に入る。そのふん尿由来のバイオガスから水素を取り出して発電に使うという。ランド氏は「農業地域では燃料電池が地域電力の選択肢の1つになる」と話す。

同州では新電源への追い風も吹きつつある。2019年から家庭用の電気料金が細かく変動する仕組みになり、ピーク時の料金が急激に上がる。負担を軽減するため、地域単位で分散型電源の導入が進む可能性が高い。

発電所を増やし、それを水素スタンドとしても使えば、燃料電池車普及の課題である水素の供給設備不足は緩和に向かう。だがネックは車本体の価格の高さだ。トヨタの燃料電池車「ミライ」を解体し分析した競合企業の技術者は「原価は販売価格の倍近くかかっている可能性がある」と指摘する。とくに炭素繊維を使う水素タンクの価格はなかなか下がらない。

それでもトヨタが次世代車開発を全方位で進めるのは、早期の絞り込みによるリスクを避ける狙いがある。次の本命はEVではないのか。ランド氏は「火力発電を置き換えるには水素も必要だ。(EVで使う)重い蓄電池には不利な航空機向けの需要も今後出てくる」と水素時代の早期到来の可能性を強調した。

トヨタの発表から少し後、オーストラリア南部ではテスラが約3万世帯分の需要に相当する世界最大規模の蓄電池を稼働させた。トヨタが建設する発電所の発電量は2350世帯分。同じ世界最大でもテスラのプロジェクトは桁違いだ。

テスラは狙いを付けた市場をとにかく作り、量産によるコストダウンで後から回収する綱渡りのような戦略。トヨタとは考え方が根本的に違う。だが車の変化はかつてない速さで進む。流れを読み誤ればトヨタといえども強さを失う可能性は否定できない。(ロサンゼルス=兼松雄一郎)

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