中国、一帯一路でミャンマー取り込み
習主席、スー・チー氏と会談

2017/12/1 18:55
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【北京=高橋哲史、ヤンゴン=新田裕一】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は1日、北京を訪問しているミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と会談した。中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に絡み、ミャンマー国内のインフラ事業を積極的に支援する考えを表明した。イスラム系少数民族ロヒンギャの難民問題で米欧との距離を広げるミャンマーの取り込みをねらう。

中国国営の新華社通信によると、習氏は会談で「ミャンマーといっしょに両国を結ぶ経済回廊の建設でどう協力を深めていけるかを積極的に検討していきたい」と語った。スー・チー氏は「習氏がミャンマーとの関係を高度に重視していることを感謝する。さまざまな分野で協力を進めていきたい」と応じた。

中国はミャンマーを、内陸部の雲南省とインド洋を結ぶ一帯一路の要衝と位置づけている。

今年4月には、雲南省の昆明とミャンマーのインド洋沿いの港町であるチャオピューをつなぐ原油パイプラインが稼働した。中国にとって、マラッカ海峡を経ずに中東産原油を国内に運ぶ選択肢ができた意義は大きい。

習氏とスー・チー氏の会談では、中国側がチャオピューに大型船の停泊が可能な深海港を建設したり、工業団地を整備したりする開発案件などで協力の拡大を表明したとみられる。

インフラの整備が遅れるミャンマーは、中国マネーがのどから手が出るほど欲しい。中国はミャンマーに、昆明とチャオピューを結ぶ高速道路の建設も持ちかけているとの観測が広がる。

会談では、ロヒンギャ問題も話し合った可能性がある。欧米がミャンマーの治安部隊によるロヒンギャ住民の迫害を批判するなか、中国は一貫してミャンマー政府の立場を支持してきた。スー・チー氏は11月28日にミャンマーを訪れたローマ法王と面会した際の演説で「私たちの努力がもたらす成功を望む良き友人たちは貴重だ」と語り、暗に中国に謝意を示した。

中国とミャンマーの関係は、2011年にテイン・セイン前政権が中国企業による水力発電ダムの建設計画を突如凍結したのを機に、一気に冷え込んだ。民主化運動を率い、16年3月に政権を握ったスー・チー氏は中国との距離をさらに広げるとの見方も根強かった。しかし、実際には習政権への接近が目立つ。

中国は巨額の経済支援とロヒンギャ問題への支持をてこに、ミャンマーを一段と自陣に引き寄せる考えだ。

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