2019年7月20日(土)

東急の執念実る グーグル日本の渋谷帰還

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2017/12/2 6:30
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起業家の街、東京・渋谷ににぎわいが戻りつつある。スタートアップのイベントや交流の場が増え、駅周辺の再開発で米グーグル日本法人も9年ぶりの帰還を決めた。六本木などにお株を奪われていた「ビットバレー」再興の仕掛け役は、渋谷の「大家」である東京急行電鉄。ソフトとハードの両面で、渋谷の地を未来の有力企業が巣立つインキュベーター(ふ化器)に仕立て上げられるか。

■六本木ヒルズから再移転

グーグル日本法人の本社移転を発表する米アルファベットのルース・ポラット最高財務責任者(17日午前、東京都渋谷区)

グーグル日本法人の本社移転を発表する米アルファベットのルース・ポラット最高財務責任者(17日午前、東京都渋谷区)

「渋谷がますます熱くなる」「また渋谷に戻ろうかな」――。11月17日、米グーグルが日本法人本社を2019年に渋谷に再移転すると発表。交流サイト(SNS)は起業家たちのコメントで盛り上がった。

グーグルが01年に最初に日本法人を構えたのが渋谷のセルリアンタワー。その後、手狭になったため10年に六本木ヒルズ(東京・港)に移転していた。今回、帰郷先は東急が渋谷駅南部で建設中の「渋谷ストリーム」だ。22フロアのオフィス分すべてを使い現在の従業員(1300人)の2倍を収容できる。

「シリコンバレーのような日本におけるイノベーションの中心」。グーグルの親会社、米アルファベットのルース・ポラット上級副社長兼最高財務責任者(CFO)は会見で渋谷をこう持ち上げた。会見場に駆けつけた東急電鉄の野本弘文社長は「渋谷は独自の文化を創ってきた成長する街」と歓迎した。

東急には苦い過去がある。渋谷はネットバブルの00年前後、起業家が集う「ビットバレー」(渋い=ビター、谷=バレー)として一世を風靡した。しかし「急成長するネット企業を収容できるビルがなく、グーグルやアマゾンジャパンなどが渋谷を去ってしまった」(大友教央・都市創造本部沿線資産営業部統括部長)。東急はグーグルに六本木移転後も繰り返し渋谷への帰還を提案していた。7年越しの悲願達成となる。

いま、東急の「渋谷ヒカリエ」にはDeNAが入居し、8階のコワーキングスペース「MOV」では朝から起業家らが仕事する風景がみられる。進行中の渋谷駅周辺の再開発が終わると「就業人口が2万~2.5万人増え、渋谷の面的な広がりが進む」(大友氏)。

渋谷創業のミクシィは11月、3カ所に分散したオフィスを19年に開業する駅直結ビル「渋谷スクランブルスクエア」に集約すると決めた。この先、桜丘町や神泉のアパートで起業→道玄坂の雑居ビルなどを転居→東急系のオフィスビルに入居といった具合に「渋谷で育つ出世魚スタートアップ」も生まれそうだ。

その準備も始まっている。

「グーグルの移転が発表され、もやもやが晴れました」。17日夕、ヒカリエで開かれていた起業家らのイベント「テッククランチ東京」。東急のスタートアップ連携のキーマン、都市創造本部事業統括部課長補佐、加藤由将氏が短いあいさつをしていた。

その風貌から社内で「プリンス」と呼ばれる加藤氏。04年の入社後、青山学院大学大学院のMBAで起業家論を学び、「自分で事業を立ち上げるより、プラットフォームをつくりたい」と感じた。「イノベーションは外から持ってくる」と脱自前主義を唱え、人工知能(AI)など先端的なスタートアップとの連携を重視する。

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