リベロの視点

フォローする

スポーツ報道に一区切り 肌で感じた10年の変化
スポーツコメンテーター フローラン・ダバディ

(1/2ページ)
2017/12/3 6:30
保存
共有
印刷
その他

13年続けてきたWOWOWテニス中継のキャスターの仕事に一区切りつけることになった。2018年の全豪オープンは現地に行かず、画面のこちら側から観戦することになる。10年以上出演していたフジテレビのスポーツ番組も16年に終了した。単発での仕事はこれからもあるだろうが、これまでとは違うかかわり方になるだろう。これを機に日本で始まった僕のスポーツジャーナリストとしてのキャリアを振り返ってみたい。

1998年から02年、サッカー日本代表のフィリップ・トルシエ監督の通訳を務めた僕は、心身ともに疲れていた。日本に残るかどうかも定かでなかった04年、懇意にしていたフジテレビのプロデューサーから電話をもらった。「フローラン、力を貸してくれ。サッカー、野球、F1と海外で活躍する日本人が増え続けている。週に1度、海外の新聞を紹介するコーナーをつくりたい。日本でそれができるのは君だけだ」

こうして毎週金曜日、スポーツ情報番組「すぽると!」の「ワールド・スポーツ」を受け持つことになった。それからの5年間、僕は日本人選手について書かれた記事を求め、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語の新聞を渉猟し続けた。その傍ら、WOWOWテニス中継のキャスターにも起用された。

日の目見ず、心折れることも

ワールド・スポーツに続く4年間、僕が担当するコーナーは「ワールド・クエスト」に衣替えした。スタジオを飛び出し、海外を旅してつくるスポーツのルポルタージュだ。赤土のヤウンデ(カメルーンの首都)、モンテビデオ(ウルグアイの首都)のパンパ(草原)、キト(エクアドルの首都)の高地、タジキスタンのシルクロード……。世界を駆け回って撮った映像から、数え切れない小品が生まれた。残念ながら日の目を見なかったものもある。多くの時間と労力を費やし、満足のいくものも多かっただけに、心が折れることもあった。

フローラン・ダバディさん

フローラン・ダバディさん

多くの超一流選手をマンツーマンでインタビューする機会にも恵まれた。NBAのレブロン・ジェームズ、テニスのロジャー・フェデラーやマリア・シャラポワ、ラグビーのジョニー・ウィルキンソン、サッカーではジネディーヌ・ジダンに女子のミア・ハム、NHLのシドニー・クロスビー、自転車のクリス・フルーム……。

苦い経験も数知れない。生放送の最中に頭が真っ白になって言葉を失い、足元が崩れ落ちるような錯覚を覚えたときは、数日間ショックを引きずった。サッカー・ウルグアイ代表のルイス・スアレスにインタビューしながらカメラを回すのを忘れ、おじゃんになったこともある。アラブ首長国連邦(UAE)では幼いラクダが険しい砂丘と撮影機材に恐れをなして、歩かなくなってしまった。現地のスタッフがラクダに罵声を浴びせ、ムチ打って歩かせようとしていたのはそれ以上にショックだったが。ドバイでは「レッドブル・エアレース」の高速プロペラ機を体感して後悔したこともある。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

五輪関連コラム

障害者スポーツコラム

電子版トップスポーツトップ

リベロの視点 一覧

フォローする
全仏テニスの大坂は高鳴る心臓の鼓動が聞こえてきそうなほど緊張していた=共同共同

 今年もテレビ中継のキャスターとして全仏オープンテニスに行ってきた。様々なドラマが生まれた15日間を振り返ってみたい。
 四大大会3連勝を狙いながら3回戦敗退に終わった大坂なおみは自分を見失っていた。足 …続き (6/16)

大坂は創造力豊かな現代っ子でもある=共同共同

 テニスの全豪オープンで四大大会連覇を果たした大坂なおみ(日清食品)はコートの内外を問わず、意表を突くのが大好きだ。眠たげなワニといっては言いすぎだが、目を細めて周囲の様子をうかがっている彼女は抜け目 …続き (2/3)

強力なサービスが大坂の武器の一つ=ロイターロイター

 女子テニスの大坂なおみを初めて知ったときのことは忘れられない。4年前の朝、ふと読んだ日本のスポーツ紙で「大坂」という16歳の日本人女子選手が時速190キロのサービスでトップ選手のサマンサ・ストーサー …続き (2018/10/7)

ハイライト・スポーツ

[PR]