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銀幕 誕生の躍動感 初上映120年 関西三都で公開(もっと関西)

2017年は日本で映画が初上映されて120年の節目。1日には映写・撮影機を発明したフランスのリュミエール兄弟らが撮った映像を集めた映画「リュミエール!」が京都、大阪で公開される。神戸を含め、関西の三都はいずれも日本映画の発祥にゆかりが深く、黎明(れいめい)期を振り返る企画が相次ぐ。

デジタルで復元

映画「リュミエール!」には京都で撮影された「日本の剣士」も収録されている

「リュミエール!」は、同兄弟や技師が1895年から1905年に撮影した1422作品のうち108本を厳選。デジタル復元し1つの作品にまとめた。カンヌ国際映画祭総代表で、リュミエール研究所の所長も務めるティエリー・フレモー氏が監督。1日から京都シネマ、テアトル梅田、9日からOSシネマズミント神戸で公開される。

10月末にはフレモー監督が旧・立誠小学校(京都市中京区)を訪れた。この地は1897年1月下旬、世界初の撮影と映写機能を持つ複合機シネマトグラフが日本で初めて試写された場所。「日本映画発祥の地」の看板も立つ。フレモー監督は「京都は映画史上重要な街。ここから映画が広がり、日本が映画大国になった」と感慨深げに語った。

108本の中には1897年10月、京都で2人の剣道家を撮影した「日本の剣士」も収録する。フレモー監督は「黒澤明監督の『七人の侍』に似ている。当時も後の映画人と同じような撮り方をしていたと分かる」と解説する。詳細な撮影場所はこれまで不明だったが、フレモー監督が情報提供を呼びかけ、現在の岡崎公園(同左京区)にあった建物付近と判明した。

「VRと同感覚」

京都文化博物館(同中京区)では日本映画を時代を追って上映する企画が2月から開催中。日本人が撮り現存する最古の映画とされる柴田常吉の「紅葉狩」(1899年)に始まり、12月5~27日に「仁義なき戦い」(1973年、深作欣二監督)など70~80年代の作品を上映し完結する。

森脇清隆主任学芸員は「映画はゲームやアニメといった京都のコンテンツ産業の芽でもあった。黎明期の『ざわざわ感』は、現代人が仮想現実(VR)技術などに直面した感覚と同じようなものだっただろう」と強調する。

リュミエール兄弟に先駆け人々に動く映像を見せたのが発明王エジソンの「キネトスコープ」だ。のぞき窓から映像を見る方式で、大人数で一度に見る形ではないが、映像メディアの系譜に数えられる。このキネトスコープが1896年11月、日本で初めて一般公開されたのが神戸・花隈にあった社交場「神港倶楽部」だ。六甲オルゴールミュージアム(神戸市灘区)では8日まで、復元したキネトスコープを実際にのぞける企画展示をしている。

神戸アートビレッジセンター(同兵庫区)は11月17~19日、エジソン社の映画を中心にピアノの生演奏とともに上映した。史上初のキスシーンである「メイ・アーウィンの接吻(せっぷん)」(1896年)など、ミニシアターのプラネット・スタジオ・プラスワン(大阪市北区)が持つ素材を神戸芸術工科大学がデジタル化し、1つの作品に編集した。

京都での試写成功直後の1897年2月15日、大阪・難波にあった南地演舞場で、シネマトグラフは初めて興行上映された。それに先立って、エジソン社の映写機「ヴァイタスコープ」が1896年12月、難波で試写されていたとの説が注目されはじめた。荒木和一という心斎橋の輸入商が映写機を持ち込み、手記に試写時期が記されていた。

南海電気鉄道は7日、新説をまちおこしにつなげようと「映画は『なんば』からはじまった!」と題した催しを大阪府立大学I-siteなんば(同浪速区)で開く。著書でこの説を紹介したエッセイストの武部好伸氏が講演し、サイレント映画を活弁付きで上映する。

荒木は功績を記した碑の建立を望んでいたとされ、地元では遺志実現の機運が盛り上がってきた。土産販売会社「せのや」の野杁育郎会長は「かつて映画館が密集していた難波の活性化だけでなく、映画にまつわる地が多い関西全体が盛り上がれば」と期待している。

(大阪・文化担当 西原幹喜)

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