アップルとクアルコム、互いに新たな提訴 係争過熱
【シリコンバレー=佐藤浩実】米アップルと米クアルコムの知的財産をめぐる訴訟合戦が過熱している。両社は30日までに互いに新たな訴訟を提起した。アップルがクアルコムのスマートフォン(スマホ)向け半導体による特許侵害を訴える一方で、クアルコムは「iPhoneX」の画像処理機能などが同社の特許に抵触しているとした。1月に始まった係争は収束する気配がない。
両社が29日付で訴えたのは米カリフォルニア州サンディエゴの地裁。アップルはアンドロイド端末に使われているクアルコムの半導体「スナップドラゴン」が電力消費に関するアップルの特許を侵しているとした。
クアルコムはiPhoneに搭載された画像処理や通信に関する技術が特許を侵害しているとして、販売差し止めを求める訴訟を起こした。今回の訴状では、アップルが11月に発売した新機種のiPhoneXも対象として明記した。
アップルとクアルコムは取引関係にあるが、今年初めにアップルがクアルコムの特許料が不当に高いと訴えたのをきっかけに互いに訴訟を重ねている。アップルが係争を理由に特許料の支払いを中断したため、クアルコムの利益は減少。株価が落ち込み、同業のブロードコムから買収を仕掛けられる要因になった。