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フランスに善戦 ラグビー日本代表の進歩と懸念

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2017/12/1 6:30
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就任1年を経た今、ジョセフHCもその重要性を認識する。「フィットネス(持久力)は強豪国と比べて30%劣っている。ストレングス(筋力)も足りない」。秋からは練習メニューを選手に渡し、所属チームでも体力トレーニングを要求。来年のサンウルブズでも最初の数週間を主力の休養と体力づくりに当てる方向だ。

具体的な取り組みが始まったのは素晴らしいが、その内容はまだまだ十分ではない。

イングランド監督に転じたジョーンズ氏も「フィットネスが20%足りない」と宣言。国内外の専門家3人を新たに呼ぶ方向という。強豪国を追う立場の日本も、負けないほどの専門家を呼びたいところ。

ジョセフHC(中央)は年が明けると、サンウルブズのHCも兼任する=共同

ジョセフHC(中央)は年が明けると、サンウルブズのHCも兼任する=共同

コーチ、スタッフ陣の組閣は懸案の一つになっている。10月の来日後、指導力を見せているジョン・プラムツリー守備コーチ。「ジェイミーが多くの人に(コーチを)頼んだが断られ、私が最後の選択肢だった。自分は個人の成長のために日本に来ていて、来年はどうなるかわからない」と話す。来年の来日がかなわぬなら後任探しが急務になる。

ラグビー界有数の人脈を持ち、各国から一流の人材を集めたジョーンズ前HCと比べるのは酷ではあるが、現体制では日本とジョセフHCの母国ニュージーランドからしか人を呼べていない。

一部の選手はメンタル面をサポートするトレーナーの必要性をジョセフHCに直訴したが、必要性を認識してもらえなかったという。19年W杯は初の自国開催。ナショナルチームへの関心が高くお祭りごとが好きな国民性から、日本代表への注目度も大会直前に急速に高まるはず。選手やHCには未体験の重圧がかかる。

重圧を打ち破ることはスポーツの醍醐味の一つだが、それは万全の準備を施して初めて可能になる。何らかの対処法は必須に思える。もっともコーチ、スタッフ陣の組閣はHCに頼るのではなく、本来は日本ラグビー協会の強化委員会がもっと支援すべきところなのだが……。

長期的計画づくりがカギ

もう一つ気になるところも。フランス戦の後、堀江は「選手が考えることではないし、上がプランニングをしているんじゃないですか」と言いつつ「あまり早くピークが来ると(W杯までに)下がっちゃう」と指摘した。

トンガ戦、フランス戦では、選手の動きが6月の3試合より明らかによかった。試合前1週間の調整法を変えたことが奏功している。従来は水曜に休養を取った後、木曜に激しい練習。今回はこの2日の順番を入れ替え、週ごとに改善を加えた。試合前に十分な休みを取れたことで「すごく体にフィットして、コンディショニングはとてもよかった」とリーチは言う。

日本は6月、アイルランドに連敗。この秋はある程度の結果を出さないとチームの根幹が揺らぐ状況だったから、調整法の修正は時宜を得ていた。ただ、W杯までを見据えるとこの方向性だけでは足りない。

15年W杯までの4年間は試合2日前まで猛練習を継続。今回のフランス戦のような大一番の前は強度を落としたが。短期と長期の両方の目標を見据えた計画づくりが絶妙だった。「今だけじゃなくて2年後のための練習も続けていかないといけない」とある選手も言う。

スーパーラグビーでの優勝経験があるジョセフHCは年間のスケジュール管理は慣れているが、4年単位のプロジェクトであるW杯は初めて。長期的な計画づくりは本番までのカギとなりそうだ。

年が明けると、ジョセフHCにとって新たなチャレンジも始まる。サンウルブズのHCも兼任。「サンウルブズと代表が同じスタイルになると思う。いい判断だった」と稲垣が歓迎するとおり、サンウルブズ創設当初の理念に沿った体制がようやく整う。

ただ、複数の要素を組み合わせ、代表とサンウルブズの双方にいい結果を導くのは簡単ではない。選手の体調管理に体づくり、戦術の成熟、目の前の勝敗……。HCだけではなく、日本ラグビー協会がどれだけ本気でサポートできるかにも懸かっている。

(谷口誠)

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