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フランスに善戦 ラグビー日本代表の進歩と懸念

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2017/12/1 6:30
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9月の代表候補合宿。ジョセフHCはW杯までの2年間の計画などを選手に語った。今回のテストマッチの前には「これは19年W杯に向けたステップだ」とスピーチもした。「初めての試みだった。今までは日本の選手をあまり把握できなかったからできなかったが、今は理解が進んだ」とHC。より大きな目標を意識させた方が日本には向いていると判断し、流儀を変えたようだ。

エディー・ジョーンズ前HCとの比較を嫌がってきたジョセフHCだが、今秋からは前任者の手法も取り入れた。ジョーンズ氏が開発に関わった体調管理用のアプリを再び採用。選手の疲労度の確認などに生かしている。

代表デビューした姫野(右端)は突破力に加え、密集戦でも好プレーを連発=共同

代表デビューした姫野(右端)は突破力に加え、密集戦でも好プレーを連発=共同

フランス戦での善戦のもう一つの理由は、選手自身の自主性だろう。

新戦術を加えた組織守備が一例。豪州戦までは味方の人数が少ないのに前に上がり、外側を抜かれる場面も多かった。フランス戦では前に上がるときと、その場で待つ形との併用が比較的うまくいった。コーチ陣の指示ではなく、選手自身の発案からなされた修正だった。

「(6月の)アイルランド戦や豪州戦で大差で負け、何かを変えないという気持ちがみんなに芽生えた。フィールド外での準備する姿勢が一番変わった」。流は話す。選手が自主的にミーティングを増やした結果、守備の微修正が可能になった。

前に出る守備そのものの成熟度も高まり、防御ラインの凸凹は減った。「ディフェンスが5週間でここまで仕上げられるという自信になった」とプロップ稲垣啓太。「理解力や順応性は僕らの色だと思う」と堀江も言う。

出番に恵まれない選手の献身

試合に出られない選手も下支えした。「(試合の登録から外れた)ノンメンバーが相手の分析を一生懸命してくれて、メンバーがやりやすいイメージをつくってくれた」とリーチ。11月の3試合で出番のなかったフッカー日野剛志らが中心となり、相手のラインアウトなどを研究。弱点などを仲間に伝えたという。

選手による組織守備の微修正と、出番に恵まれぬ者の献身。15年W杯の日本代表にもあった光景だ。その美徳が今も継承されているのは喜ばしいことである。

自主性という意味では、サンウルブズで培ったものも大きかった気がする。参入初年度の16年はスクラムコーチすら不在で、選手が組み方などを考えた。今年はジョセフHCの意向で参加メンバーがネコの目のように交代。選手は短期間で連係を練らなければいけなかった。

ジョセフHCは選手の休養期間が取りにくくなったことを理由に「サンウルブズと日本代表がウィンウィンの関係ではなく"ロストロスト"になっている」と嘆くが、レベルの高い試合を多く経験できるようになったことも併せ、スーパーラグビー参戦の効果はある。

この秋に見られた明るい兆しの一方、手放しで喜べないところもある。フランスはもともと波の激しいチームだが、今回は底に近いところに当たっていた。

日本が相手の力を出させなかった面も大きいが、フランス側の事情もある。先発はデビュー組2人を含む1軍半の陣容。ノベス監督も解任が既定路線で、新聞紙面で後任候補が何人も挙がっていた。求心力を失った指揮官のもと、攻守において意思統一はなされていなかった。

フランス戦の引き分けは過去の9戦全敗からみると半歩前進だが、勝ちきったわけでもない。選手自身が一番よくわかっている。「みんな引き分けで満足していないのが非常にうれしかった」と堀江。今の日本はW杯で史上初の8強を目指すチーム。勝利をつかんだわけでもないのに過度にたたえるのは、かえって失礼だろう。

「課題は山積み」とジョセフHCも言う通り、中身を見れば不安要素もまだ多い。

筆頭はストレングス・アンド・コンディショニングと呼ばれる体づくり。15年W杯の日本の3勝は、強豪国とのFWの平均体重の差を10キロから5キロほどまでつめ、同時に体力も向上させたことが大きな要因だった。

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